Yahoo!ニュース

台風10号、まだ離れている地域で備えておきたいこと #専門家のまとめ

関口威人ジャーナリスト
土砂崩れで家屋が埋まった愛知県蒲郡市の現場=8月28日、筆者撮影

 「史上最強クラス」とされる台風10号が日本列島を縦断して各地に災害をもたらしそうです。

 すでに九州では猛烈な風雨が観測されていますが、まだ遠く離れた本州各地でも大雨が降り、愛知県蒲郡市では家族5人が生き埋めになる土砂崩れも発生しています。

 大型だけれど進行速度は極めて遅く、近畿や東海に接近するのは2、3日先になりそうな今回の台風。そんな特徴を踏まえて気を付けたり備えたりしておきたいことを、防災をテーマにするジャーナリストの視点でピックアップしました。

ココがポイント

▼蒲郡市の土砂崩れ現場は「土砂災害警戒区域」の指定外。大雨警報も避難指示もない中でも災害は起こる。

「警戒外」の場所で起きた土砂崩れ 住人の捜索が続く 愛知県蒲郡市 (メ~テレ)

▼土砂崩れや倒木で道路が通行止めになることも。予定の変更や迂回ルート、代替ルートの検討を。

台風10号による道路への影響は長時間・広範囲 経験したことのない暴風や大雨に(tenki.jp)

▼どんな備えが必要かを「タイムライン」で自分なりに確認。台風接近「3日前」からの準備が重要。

台風接近前にやっておきたい備え「タイムライン」で(NHK)

エキスパートの補足・見解

 蒲郡市の現場には私も足を運んでみましたが、特別危険な急斜面には見えませんでした。周辺の住民は「雨はずっと降っていたがものすごい大雨というほどではなかった」と話していました。

 当時は大雨警報も避難指示も出ていませんでした。土砂災害警戒区域の指定もない場所で、長雨によって思わぬリスクが顕在化したということになるでしょう。

 そうした中で3人が亡くなられたことは本当に悔やまれます。最後に自分や家族の命を守るのは、自分たちの判断だけということなのかもしれません。土砂災害のリスクが少しでもある方は厳重な警戒や避難の準備をしてください。

 それ以外でも台風の進路予想に入っている地域の人たちは、予定を見直したり、タイムラインを考えたりしながら「もしも」ではなく「必ず来る」ものとして備えましょう。

ジャーナリスト

1973年横浜市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学)修了。中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で社会問題をはじめ環境や防災、科学技術などの諸問題を追い掛ける。東日本大震災発生前後の4年間は災害救援NPOの非常勤スタッフを経験。2012年からは環境専門紙の編集長を10年間務めた。2018年に名古屋エリアのライターやカメラマン、編集者らと一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」を立ち上げて代表理事に就任。

関口威人の最近の記事