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今冬一番の寒気南下で日本海側は暴風雪と大雪に警戒 週末は西日本を中心に一段と強い寒気が押し寄せる

饒村曜気象予報士
寒気の南下に伴う日本海から東シナ海の筋状の雲(12月14日12時)

今冬一番の寒気が南下

 令和4年(2022年)は、残暑が厳しく秋らしい季節の到来が遅れていましたが、二十四節季でいうと、霜降をすぎると、最高気温が30度以上という夏日を観測する地点数が20パーセントを超えなくなり、逆に最低気温が氷点下となる冬日が20パーセントを観測する日が出始めました。

 立冬をすぎると、ほとんどの日で冬日が20パーセントくらいとなり、小雪をすぎて12月になると、冬日を観測する地点が4割を超えることが多くなり、最高気温が氷点下という真冬日も観測されるようになりました(図1)。

図1 夏日と冬日の観測地点数の推移(10月16日~12月14日)
図1 夏日と冬日の観測地点数の推移(10月16日~12月14日)

 そして、12月14日は、今冬一番の寒気が南下し、日本付近は西高東低の冬型の気圧配置が強まりました。

 このため、金沢や福岡など、北陸から九州北部にかけての12地点で初雪を観測しています(表)。

表 令和4年(2022年)の初雪
表 令和4年(2022年)の初雪

 殆どの地点で平年より遅い初雪で、今年は冬の訪れが遅かったといえるでしょう。

 西日本は大陸からの移動性高気圧に覆われますので、寒気の南下はいったん止まりますが、北日本は引き続き冬型の気圧配置で、15日(木)夜遅くにかけて雪を伴って非常に強い風が吹く見込みです(図2)。

図2 予想天気図(12月15日9時の予想)
図2 予想天気図(12月15日9時の予想)

 北日本では引き続き暴風雪に警戒が必要です。

 また、雪が降り続いていますので、積雪がどんどん増えています。

 多雪地帯では、今後さらに50センチ以上の降雪が予想されていますので、大雪に対する警戒も必要です(図3)。

図3 48時間予想降雪量(12月15日0時~16日24時)
図3 48時間予想降雪量(12月15日0時~16日24時)

 大雪をもたらす目安とされるのは、上空約5500メートルで氷点下36度以下という寒気で、テレビなどで、気象予報士が上空約5500メートルで気温が云々と説明するのはこのためです。

 12月14日の今冬一番の寒気は、上空約5500メートルで氷点下36度以下の範囲が北海道をすっぽりと覆い、北海道北部では氷点下42度と真冬でもめったにない低い温度でした。

 寒気の南下を示す、日本海の筋状の雲は、大陸近くの海上から発生していますが、これは強い寒気の証しです。

 12月14日の強い寒気は、15日には北へ後退しましたが、週末には、さらに強い寒気が南下してくる見込みです(図4)。

図4 上空約5500メートルの気温分布予報(12月17日夜)
図4 上空約5500メートルの気温分布予報(12月17日夜)

 しばらくは、周期的に強い寒気が南下するという寒い年の瀬になりそうです。

各地で異なる気温変化

 多くの場合、一日の気温は明け方が一番低く、昼過ぎに一番高くなります。

 しかし、今回の寒気の南下に伴う気温変化は普段とは違っています。

 札幌の14日は、強い寒気の流入で、気温が未明からどんどん低下しており、15日と16日は、一日中同じような気温が続いています(図5)。

図5 札幌と東京、福岡の気温変化(15日以降は気象庁の予報で、点線は気温変化のイメージ)
図5 札幌と東京、福岡の気温変化(15日以降は気象庁の予報で、点線は気温変化のイメージ)

 これに対し、東京では、一日の気温は明け方が一番低く、昼過ぎに一番高くなるという変化をしています。ただ、13日の最高気温が10度をやっと上回り、17日は最高気温が9度と一桁の予報であり、寒い日が続いています。

 また、福岡は、13日は夕方になっても気温が下がらなかったのですが、日付が14日に変わった頃から寒気が流入して気温がどんどん下がっています。

そして日付が15日に変わることから16日の昼過ぎにかけて、気温がどんどん上がっています。

 各地で気温変化が違いますので、最高気温と最低気温をみて服装とチェックするのではなく、気温の時系列予報を利用してください。

タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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