ノート(180) 総連事件の証人出廷に向けた東京高検検事による「脅し」
~工場編(8)
受刑73/384日目(続)
弁護士との面会
この日は、弁護士が会いにやってきた。月2回の教育的指導日であり、刑務作業が丸一日免除されるので、これを狙ってやってくる家族らも多く、面会室は順番待ちとなる。
刑務作業がある通常の平日でも面会できるが、工場と面会室の往復に要する時間や待ち時間、実際の面会時間を合わせると1時間近く工場を離れるから、他の受刑者に迷惑がかかる。しかも、誰かが面会にきたというだけで嫉妬や羨望の眼差しが向けられ、引け目を感じるので、家族らとの間で教育的指導日に面会すると決めている受刑者が多いというわけだ。
重要なのは、たとえ相手が弁護士でも、被疑者や被告人の立場で行われる「接見」と異なり、あくまで「面会」という形になるという点だ。接見室ではなく、一般の面会室が使われる。しかも、接見だと回数制限はないが、面会はその受刑者の優遇区分ごとに月2回とか3回までといった制限があり、弁護士との面会の場合もこれにカウントされる。
さらに深刻なのは、原則として刑務官が立ち会い、弁護士とのやり取りを記録しているという点だ。接見だと絶対にあり得ない事態であり、これでは弁護士との間で腹を割った本音の話がしにくい。法令では、刑務所長が下した措置や刑務所における処遇に関して相談するような場合に限り、立ち会えないこととなっているが、ごく限られた例外にすぎない。
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