米国はソレイマーニー革命防衛隊ゴドス軍団司令官の命日に合わせてシリアでイランの民兵をドローンで攻撃
イラン・イスラーム革命防衛隊の精鋭部隊ゴドス軍団のガーセム・ソレイマーニー司令官が2020年1月3日にイラクの首都バクダードで暗殺されてから2年が経った。
3回目となる命日に合わせて、イラン、ないしは「イランの民兵」がシリアやイラクに駐留する米軍を狙って報復攻撃がなされるとの情報が錯そうした。英国を拠点とする反体制系NGOのシリア人権監視団によると、米主導の有志連合は、ヒムス県のタンフ国境通行所(55キロ地帯)に違法に設置している基地から部隊を一次撤退させる措置をとるなどして不測の事態に備えたとされる。
だが、ソレイマーニー司令官の命日に合わせて、シリアで攻撃を行ったのは、イランの側ではなく、警戒を強めていた米国(有志連合)だった。
ダイル・ザウル県に対するドローン爆撃
シリア政府の支配下にあるダイル・ザウル県のユーフラテス川西岸のクーリーヤ市近郊の砂漠地帯で1月4日昼頃、所属不明の無人航空機(ドローン)が「イランの民兵」の拠点複数カ所に対して爆撃を実施し、複数回にわたって爆発が発生した。
「イランの民兵」とは、シーア派宗徒とその居住地や聖地を防衛するとして、イランの支援を受けてシリアに集結し、シリア・ロシア両軍と共闘した外国人(非シリア人)民兵の総称である。イラン・イスラーム革命防衛隊、その精鋭部隊であるゴドス軍団、レバノンのヒズブッラー、イラク人民動員隊、アフガニスタン人民兵組織のファーティミーユーン旅団、パキスタン人民兵組織のザイナビーユーン旅団などを指す。
「イランの民兵」のドローンが攻撃を受けるのは今年になって初めて。
ダイル・ザウル県情勢に詳しいナフル・メディアは、爆撃がドローン1機によって行われ、アシャーラ市近郊の砂漠地帯に設置されているイラク人民動員隊に所属するアブー・ファドル・アッバース旅団の拠点2カ所と、クーリーヤ市近郊の砂漠地帯に設置されているイラン・イスラーム革命防衛隊の拠点1カ所が標的となったと伝えた。
一方、「独立系サイト」を名乗るアイン・フラートは4機のドローンが爆撃を実施したとしたうえで、ラン・イスラーム革命防衛隊の拠点が、マザール・アイン・アリー農場の近くに位置し、ハーッジ・ハサン・イーラーニーとして知られる人物が率いるグループが教練施設として使用、ロケット弾や迫撃砲の射場、武器弾薬庫なども完備していたと伝えた。
有志連合匿名高官が爆撃を認める
これに関して、ロイター通信は、有志連合の匿名高官の話として、有志連合が「グリーン・ヴィレッジ」(米軍がウマル油田に違法に設置している基地の名称)近くに設置されていたロケット弾の射場複数カ所に対して爆撃を実施したと伝えた。
同匿名高官は、爆撃は脅威となっていた射場に対して行われたとしつつも、具体的な場所については明らかにしなかった。
イラクとイスラエルではドローンが相次いで撃墜される
ダイル・ザウル県の「イランの民兵」に対して有志連合がドローンによる爆撃を行う一方、イラクとイスラエルでもドローンが相次いで撃墜された。
イラクでは、治安メディア・セルが1月4日早朝、米軍が駐留するアンバール県のアイン・アサド航空基地に接近したドローン2機を撃墜し、攻撃を未然に防いだと発表した。
また、イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ報道官は4日の午後9時頃にツイッターを通じて速報を発表、レバノンとの国境地帯でヒズブッラー所属のドローン1機を撃墜したと発表し、その写真を公開した。