木村拓哉主演『レジェンド&バタフライ』入門 織田信長が比叡山を焼き討ちした真の理由
木村拓哉さん主演の映画『レジェンド&バタフライ』が絶賛公開中です。木村さんが演じるのは、戦国乱世を駆け抜けた武将・織田信長。信長と言えば、桶狭間の戦い、姉川の戦い、長篠合戦など数々の戦を経てきたことで知られています。それらは、戦国武将同士の争いでしたが、信長が争った相手には寺院勢力もいました。
その1つが、比叡山延暦寺(滋賀県大津市)です。延暦寺は、天台宗の総本山であり、8世紀に僧・最澄によって開かれました。現代では、寺院というと世俗のことに関わりなしというイメージかもしれませんが、当時は違いました。
延暦寺は、信長と敵対していた大名、近江の浅井長政や越前の朝倉義景に味方し、彼らの軍勢を匿うこともあったのです(1570年)。この時、信長は延暦寺に対し「我らに味方するなら、比叡山領を還付しよう」とか「中立を保ってほしい」などと申し出ています。懐柔しようとしたのです。
更に、要求を受け入れないのであれば、延暦寺を何れ焼き払うぞと信長は警告しています。延暦寺がこの時、信長の要求を受け入れていれば、後の悲劇はなかったかもしれません。が、延暦寺は要求を拒否。そしてついに、翌年(1571年)9月に比叡山焼き討ちが敢行されるのです。
『信長公記』(信長の家臣・太田牛一が記した信長の一代記)は、延暦寺の僧侶たちが、仏道修行を省みず、魚や鳥を食し、金銀の欲に耽り、浅井・朝倉に加担し、ほしいままな振る舞いをしたと書いています。
しかし、信長も延暦寺の僧侶が「腐敗」していただけでは、焼き討ちなどしなかったでしょう。敵対する勢力に加担し、自らの要求を拒否したことに怒ったのです。そして、その憤りと恨みを焼き討ちにより、晴らしたのでした。