忍者(忍び)になるために求められる3つの資質と主な仕事とは??
忍者といえば、どんな人を思い浮かべるでしょうか?
私の場合は、いわゆる黒装束を着て印を結び、忍術を使い、忍び込んでスパイ活動をしたり暗殺したりするイメージが思い浮かびます。
忍者というネーミング自体は、昭和30年頃に小説などで使われて普及しました。
その起源は、大伴細入(おおとものほそひと)がさまざまな功績をあげ、聖徳太子から【志能便(しのび)】の称号を与えられた事から日本最初の忍者だと言う逸話があります。
日本で本格的に確認ができるようになるのは、南北朝以降の荘園支配に抵抗した悪党たちと考えられています。【忍び】の他に【乱波(らっぱ)】【透波(すっぱ)】【草(くさ)】【奪口(だっこう)】など地域でさまざまな呼び名がありました。
忍者【忍び】の主な仕事は諜報活動
傭兵のようにお金で雇われて戦に参加してた忍者もいたようですが、基本的には各大名家に召し抱えられて、敵国へ侵入し破壊活動や情報収集などに従事していました。
その中でも情報収集は最も重要視されており、敵地に忍び込み、敵方の状況や情報などを収集して主君の元へ生きて戻り情報を伝えます。
僧や旅芸人、農民などに変装して城下町に溶け込み、さまざまな情報を入手。時には、敵と戦闘になることもありますが、極力戦闘を避け生き延びることを最優先にしていました。
他国との争いが絶えなかった室町・安土桃山時代では、破壊活動の他に要人の暗殺なども行なったとされています。室町幕府の9代将軍・義尚の死因は、忍者に受けた傷が原因と言われています。
どうする家康でも、近いうちに描写されるであろう伊賀越えでは、伊賀・甲賀忍者たちの支援を受けて家康は堺から三河へ無事に帰還しています。
江戸時代になると情報収集と警護がメイン業務となり、忍者が持ってきた隣国の情報を参考に支配者が自国の政治に生かしていたそうです。時には、幕府が謀反を事前に察知するために各大名家に忍者を放っていたとも言われています。
江戸幕府8代将軍・徳川吉宗は御庭番を設置して直接命令を下し、秘密裏に諜報活動を行っていました。
忍者に求められる資質
忍者に求められる資質について小笠原昨雲の【軍法侍用集】の中で(1618年作)
- 知恵のある人
- 記憶力の良い人
- コミュニケーション能力に優れた人
の3つを挙げています。
忍者の情報収集は屋根裏に潜んで会話を盗み聞きをするイメージですが、実際はその土地の人と仲良くなり情報を聞き出すことが多かったようです。そのため、臨機応変な適応力・見聞きした事を覚える記憶力・相手から情報を聞き出すコミュニケーション能力が重要でした。
忍者だって人間。できることは限られる
ドラマやアニメでは高い城壁などをピョンと飛び越えて敵の城へ忍び込んだりしますが、実際の忍者も私たちと同じ人間です。
いくら訓練をしているからと言っても高い城壁を飛び越えられるはずがありません。YouTubeのバネ人間動画(バネちゃん)で飛んでるくらいは、訓練した忍者は行けるかもしれませんね。
それでも、人間ですから限界はあります。
数十メートル級の高い壁などは、遠くから穴を掘り忍び込んだり、壁に塩水を毎日吹きかけて腐らせたりするなど、地道な努力をして忍び込んでいました。
忍者のハウツー本
江戸時代になると、忍術の方法や心構えを記した忍術書が書かれるようになりました。
忍術書には登器・水器・開器・火器などの道具などが記載されているほか、交際術・対話術・記憶術・伝達術・呪術・医学・薬学・食物・天文・気象・遁甲・火薬など多様な記述がなされています。
忍者の武器である手裏剣は、実際に使う場面としては小動物を対象とした食料調達に最も効果があるという事で、対人武器としては必ずしもメインで使っていなかったそうです。
これらをマスターすれば、わざわざ忍者にならずとも生活には困らないと思うのは私だけでしょうか?
最後に、忍者が良くする印を結ぶポーズですが、印を結んだ際に脳波や心拍数を調べるとストレスが緩和され、落ち着いた状態になることが大学の研究でわかっています。
あのラグビー日本代表の五郎丸歩選手がキック前に印に似たポーズを取っていた事から、もしかしたら、忍者の印を結んだ時のように同じ効果が得られているのでは?とも考えられているようです。