バルサとプロバガンダの功罪。「問題ではないところに問題を作る」シャビの難点。
フットボールの真実は、ピッチ上にある。
この夏、大型補強を敢行したバルセロナだが、初陣を勝利では飾れなかった。リーガエスパニョーラ開幕節、バルセロナ対ラージョ・バジェカーノの一戦は、0−0の引き分けに終わっている。
「僕たちは素晴らしい試合をしたと思う。満足して帰路につくことはできない。勝利を得られなかったからだ。ファンは、現在のチームに対して、非常に希望を抱いている。(結果は)残念だった」とはロナウド・アラウホの言葉だ。
アンドニ・イラオラ監督の率いるラージョは、バルセロナの天敵になった。昨季を含め、リーガの3試合でバルセロナ相手に3勝している。そのすべてがクリーンシートだ。
イラオラ・ラージョが明確なプレーモデルを有しているのに対して、シャビ・エルナンデス監督のバルセロナにはそれがなかった。
無論、シャビ監督の「やりたいこと」は見て取れた。ビルドアップ、ポゼッション、即時奪回。そういった特徴である。
■バルサのビルドアップ
ひとつずつ、紐解いていく。まずはビルドアップだ。
GKテア・シュテーゲンを使いつつ、後方から丁寧にボールを繋いでいく。CBが両サイドに開き、SBが高い位置を取る。ペップ・グアルディオラ監督が指揮を取っていた頃、それこそ、シャビが現役の時から行っていた手法だ。
だがラージョはしっかりとバルセロナを研究していた。トップ下(トレホ)の選手が、アンカー(ブスケッツ)を徹底的に潰しにいく。【4−3−3】のバルセロナに対して、【4−2−3−1】のラージョというのは、噛み合わせとしても適していた。
バルセロナはアンカーを潰され、ビルドアップに時間がかかった。本来ならアンカーに縦パスを当て、それを素早くC BやS Bがサポートして、相手のプレスを回避するべきである。しかし、ボールの循環が遅く、プレスを剥がしきれない。ボールが動いているうちに、ラージョが守備体型を修正してしまうのだ。
また、バルセロナはSB、IH、WGの関係が悪かった。距離感が近く(あるいは遠く)思うようにボールを運べていなかった。
本当なら、いくつかパターンはある。SBが上がり、その空いたスペースにIHが入る。レアル・マドリーで、クロースがよく見せるプレーだ。
もしくは、IHがサイドフローで開き、WGが少し降りてくる。ハーフスペースに顔を出して、楔のパスを受ければ、ボールを前進させられる。
■CFのポストプレー
シャビ監督は、こういったメカニズムを整理していない。
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