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ウクライナ強力支持者の米共和党議員が上院軍事委員会の次期委員長に就任へ トランプ次期大統領と綱引きか

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
米上院軍事委員会の委員長への就任が予定されるロジャー・ウィッカー氏(米国防総省)

ウクライナの強力な支持者であり、軍事費増額の推進者である米ミシシッピ州共和党のロジャー・ウィッカー氏(73)が、米上院軍事委員会の次期委員長に就任する予定だ。アメリカ軍準機関紙の星条旗新聞が11月6日、報じた。

次期大統領に選ばれたトランプ氏は「米国第一」を掲げ、ウクライナ支援に否定的だ。しかし、米国は議会が強力な国だ。今後、トランプ氏とウィッカー氏が率いる上院軍事委員会との政治的な綱引きが起こりそうだ。

米ミシシッピ州を選挙区とする共和党議員のウィッカー氏は6日夜、上院議員に再選された。共和党が上院の過半数を制したことで、同氏は来年、国防総省を監督し、国防政策の策定を支援する上院軍事委員会の委員長に就任することになる。

元アメリカ空軍将校のウィッカー氏は、2023年にオクラホマ州選出の共和党上院議員で同委員会委員長を務めたジム・インハーフ氏の引退に伴い、同委員会の最古参の共和党議員となった。同委員長は伝統的に多数派党所属の最古参議員が務める。ウィッカー氏は、2021年から同委員長を務めてきたジャック・リード上院議員(民主党)から委員会トップの座を引き継ぐ予定だ。

「私が委員長になれば、軍を支援するもう1つの機会、重要な機会が得られることになる」。ウィッカー氏は今週末の上院選挙活動中、ミシシッピ州の地元テレビ局にこう語った。

星条旗新聞によると、ウィッカー氏は、ジョー・バイデン大統領の2025年度国防予算要求額を550億ドル(8.5兆円)増額する提案の立役者であり、上院軍事委員会を説得して250億ドルの増額に同意させることに成功した。

ウィッカー氏が描く青写真によれば、アメリカ海軍の艦艇数は2035年までに357隻に拡大し、空軍も5年間で少なくとも340機の航空機を追加購入することになるという。

また、ウィッカー氏はロシアのウクライナ侵略と中国の対外強硬姿勢に対抗するため、欧州とインド太平洋地域での部隊の増派も提唱している。

ウィッカー氏は地元テレビ局の取材に対し、ロシア、中国、イラン、北朝鮮を抑止し、「戦争を回避する」ために軍事力を強化するために与野党の協力を得ると述べた。

ウィッカー氏は、同僚の共和党議員らが戦争の続くウクライナへの米国の関与にますます不満を募らせているにもかかわらず、ウクライナに対する強力な支持を続けている。

ウィッカー氏は10月、バイデン大統領に書簡を送り、大統領任期最後の数ヵ月間にウクライナへの武器輸送を急増させ、ロシア領土の奥深くでアメリカが提供した武器の使用制限を解除するよう強く求めた。ウィッカー氏は装備品の配送ペースの遅さを厳しく批判した。

その一方、次期大統領のドナルド・トランプ氏はウクライナを重荷とみなし、ウクライナ戦争を「1日で終わらせる」とさえ公言してきた。同戦争の早期終結に向けた交渉を模索するのは間違いないだろう。

ウクライナ戦争の支援や終結をめぐり、トランプ次期大統領とウィッカー氏率いる上院軍事委員会が今後、政治的にどのような折り合いを付けるのか、注目される。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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