中国海軍、J-15D電子戦闘機を空母「山東」に配備 ミサイル搭載も可能
中国海軍初の空母艦載型の電子戦戦闘機J-15Dが空母「山東」に配備された。中国中央テレビ(CCTV)や中国政府系の英字紙チャイナ・デイリーが報じた。
CCTVが12月17日に報じた映像では、山東の甲板上に艦載された12機のJ-15Dのうち、数機が離陸するシーンが見られた。同日は山東の就役5周年記念日だった。艦載機のJ-15は折りたたみ式の翼を有する。
チャイナ・デイリーによると、J-15Dは11月に中国広東省珠海市で開催された第15回中国国際航空宇宙博覧会(中国航空ショー)で初めて一般公開されて機密が解除された。
同紙が引用した中国海軍の情報では、J-15DはJ-15艦載戦闘機の複座型(2人乗り)で、電子戦ポッドによる電子妨害と電子戦対抗措置を主たる任務にしている。要は電子攻撃機型戦闘機だ。同紙は「空爆や空中戦闘作戦用のミサイルを搭載することもできる」とも報じた。
そして、「(中国)海軍は、J-15Dの運用が空母打撃群の制空権をめぐる戦いにおいて重要な役割を果たすだろうと述べた」と伝えた。
アメリカ国防総省が18日に公表した、中国の軍事動向を分析した年次報告書では、J-15Dについては次のように記述されている。
「中国海軍は、空母や戦闘艦艇から運用する戦闘機を運用、開発している。中国海軍の空母から運用される標準のJ-15戦闘機に加え、電磁式カタパルト(射出機)利用可能なJ-15派生型も開発中だ。この戦闘機は、陸上の蒸気カタパルトと電磁カタパルトで試験されている。他の2つのJ-15派生型も開発中だ。(複座型の)J-15Sタンデムシート派生型と、翼端電子支援手段/電子情報収集ポッドおよび複数のコンフォーマルアンテナ(筆者注:航空機などの本来の運動性能を損なわないように機体の形状に適合させたアンテナ)を装備したJ-15D EW派生型だ」
山東は、中国にとって旧ソ連製を改修した「遼寧」に続く2隻目の空母で、遼寧を基に設計された初めての国産空母となった。2019年12月に就役し、中国海軍三大艦隊の1つである南海艦隊(司令部・広東省湛江市)に配備された。
●米国防総省「空母福建は2025年前半に運用開始」
海軍力の強化を急速に進める中国は、3隻目の空母「福建」の試験航海を繰り返し行っている。アメリカ国防総省は中国軍についての今年の年次報告書で「CV-18(福建)は2025年前半に運用開始される予定で、その後、追加の空母が続く予定だ」と分析している。
スキージャンプ式空母の遼寧(満載排水量5万8500トン)と山東(同7万トン)に対し、電磁カタパルト発射システムを備えた福建の満載排水量は8万トンを超えて中国最大の軍艦となる。45機から50機を艦載できるとみられている。海上自衛隊最大のいずも型護衛艦の満載排水量は2万6000トンであり、福建の大きさがうかがえる。
アメリカ国防総省は「(福建は)この設計によって、追加の戦闘機、固定翼早期警戒機、より迅速な飛行作戦をサポートできるため、中国の空母搭載攻撃機の射程範囲と有効性が拡大する」と警戒を強めている。
中国は東シナ海と西太平洋で米空母などが近づけないようにする接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力の強化を狙っている。
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