ついにマネックス証券がiDeCoの詳細を発表!その中身はどうか?iDeCoの専門家が一刀両断。
マネックス証券、ついにiDeCoの詳細を明らかにする
個人型確定拠出年金ことiDeCoは、2017年1月の規制緩和を受けて、加入者数が急速に拡大しています。年内100万人のペースは難しくなったものの、7月末時点で58.4万人となり、昨年末の30.6万人から半年と少しでほぼ倍増したことになります。
昨年末の数字が加入対象拡大前であることを考慮しても、15年かけて積み上げた人数であったことを思えば、今年の加入者数増のペースは著しいと思います。
2017年1月の規制緩和にあわせ、楽天証券をはじめとした新規参入組が積極的な商品ラインナップと手数料体系を提示し、これに参入済みの既存の金融機関がテコ入れをして応戦することで、iDeCoの市場は大きく活性化しました。
ところが、いくつかの金融機関は沈黙を守り続けており、その動向が注目されていました。
このうち、イオン銀行が6月27日に参入を表明、イオン銀行の店舗網を積極的に活用するという営業方針で注目されています。
(参考記事)
イオン銀行とマネックス証券の「攻め」で変わるか iDeCo(個人型確定拠出年金)勢力図
ネット証券大手の中で未参入であったマネックス証券は6月21日に参入を表明していたものの、商品詳細の発表等が遅れており、続報が待たれていました。
そしてついに、9月12日にその手数料体系やラインナップが発表されることになったわけです。今回はこの内容をスピード解説してみます。
口座管理手数料無料は予想通り
まず、口座管理手数料です。ここは大方の予想どおり、無料をうたってきました。
SBI証券、楽天証券、イオン銀行などが口座管理手数料のうち自身の徴収する分については無料としていますが、この点についてはマネックス証券も「無条件無料」を宣言しています(なお、無料なのは金融機関の手数料であり、国民年金基金連合会と事務委託先金融機関(信託銀行)が徴収する月167円はすべての金融機関でかかる)。
また、マネックス証券への加入時の手数料、資産を移換する際の手数料、運用管理機関を他の金融機関からマネックス証券に変更する際にかかる手数料も無料としています(これも国民年金基金連合会等の徴収分はそのまま)となります。
さて、ここまではほぼ予想通りです。
運用商品のラインナップはあえて22本に絞り込む
運用商品のラインナップはどうでしょうか。iDeCoは国の年金制度の枠組みを持ちつつ、金融機関ごとに商品ラインナップは独自の提示をできるところに特徴があります。
今回、マネックス証券の運用商品のラインナップは投資信託21本、定期預金1本としてきました。楽天証券28本に近い数字で、SBI証券の64本よりはかなり抑えてあります。
SBI証券は古くから参入しているため、旧来の金融商品と、競争力を高めるために追加設定した金融商品が混在しているため、商品数が多いところもありますが、マネックス証券はあえて絞り込んできたな、という印象です。
実はiDeCo、法律上の商品数上限が来年5月から35本となります。マネックス証券はこれを承知のうえであえて22本としたのであれば、「商品の多彩さ」より「商品構成のわかりやすさ」と「厳選したという『目利き』」でアピールしてきたといえそうです。
プレスリリースによれば、投資信託21本のうち9本はiDeCo初採用とのことで、この点では後発組ながら新鮮味のある商品ラインナップを構成してきたいといえるでしょう。
運用商品にかかる手数料も割安
運用商品についてはその手数料設定も重要な注目ポイントですが、こちらでも割安な商品をずらりと取りそろえ、SBI証券、楽天証券と真っ向から勝負を挑む姿勢を見せてきました。
日本株式で投資を行う「DIAM DC 国内株式インデックスファンド」は運用手数料が年0.1674%とかなりの割安です。筆者は目安として「年0.5%以下のものがあるかどうか」を掲げますが、すべてのアセットクラス(投資対象)でこれをクリアする商品が含まれています。
ひとつの投資信託で国内外に分散投資できる選択肢として、初心者に欠かせない投資の選択肢としてバランス型ファンドがありますが、ここについては2本と控えめです。「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は資産配分は面白みがないものの(単に12.5%ずつ8つの投資対象に振り分けるだけ)、手数料は0.2376%と格安です。
バランス型ファンドを中心に世界中に分散投資をしつつ、国内外の株式について別途インデックスファンドを追加保有し、投資ウエートを調整するような使い方ができれば、かなり割安の投資環境になりそうです。
ところで、筆者が各所でiDeCoのお得度比較をする際の簡単な数式がありますが、ライバルのSBI証券が0.384のところ、0.438とかなりのスコアになりました(少ないほうが割安、の意味)。同時期に参入したイオン銀行の0.5352よりも低い数字です。
(参考記事)
個人型確定拠出年金(iDeCo)の取引相手を決める、もっとも簡単な公式
0.7~0.8で十分に割安な金融機関と評価できるので、マネックス証券は十分に検討候補となりうるのではないでしょうか。
iDeCoはここで決め所 むしろ「悩むくらいなら入れ」のステージへ
iDeCoの新規参入組の様子をうかがって、まだ未加入であった人はそろそろ決めてもいいと思います。イオン銀行やマネックス証券は先行組をよく研究してきましたが、これ以上の好条件はもう現れないと思います。
むしろ「1年入らなかったことの損」のほうがこれからは拡大していきます。iDeCoの掛金は遡って「まとめて入金」ができませんので、利用しない人ほど税制優遇のチャンスもどんどん失い、最終的な積み上げ額も増やせないということになるからです。
iDeCo最大の魅力である所得控除(掛金を積むほど所得税や住民税が軽減される)も加入しないと利用できません。運用益の非課税メリットもiDeCoに残高がなければ利用できません。
どこにしようかいつまでも悩むくらいなら、今回紹介した金融機関のどこかに口座開設をしてしまい、1カ月でも早く積立スタートすることをおすすめします。それが老後の安心への近道になるはずです。