最新の観測で宇宙は「3次元のドーナツ型」であると判明!?この宇宙の形状はドーナツ型だった!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「宇宙の形は3次元のドーナツ状だった?」というテーマで動画をお送りしていきます。
●宇宙の曲率
私たちの宇宙はどのような形をしているのでしょうか?
宇宙の形は一般に、「曲率」で決まります。
曲率とは、宇宙空間の曲がり方を表す量です。
2次元の平面においてそれが球の表面なのか、それとも平面が永遠に続くのかは、3次元の世界から俯瞰的に見なければその全貌を理解できません。
それと同様に私たちの住む3次元の宇宙の空間的な全貌を理解するためには、より高い次元からの視点が必要となるため、3次元の空間の中に住む3次元の体を持つ私たちは、感覚的に宇宙の全貌をイメージすることは困難です。
なので私たちでもイメージしやすいように、一旦2次元に次元を落として考えてみたいと思います。
2次元の世界の形は曲がり方(曲率)によって3パターンの可能性があります。
まず画像の一番下のように、曲率がゼロの場合、完全に平らな平面です。次に画像一番上のように曲率がプラスの場合、どの方向にも同じ様に曲がっている状態で、球面のように閉じた2次元世界になります。
そして画像中央のように曲率がマイナスの場合、シートの方向によって曲がる向きが異なり、馬の鞍のような形の世界になります。
このような2次元世界に住む2次元の住民にとって、この世界の形状を知る方法があります。
それはこの平面世界に巨大な三角形を引き、その内角の和を調べる方法です。
実は曲率によって内角の和が異なります。
一番下の平らな平面の場合は三角形の内角の和は180度です。
一番上の曲率が正の平面上では、三角形の内角の和は180度より大きくなります。
真ん中の曲率が負の平面上では三角形の内角の和は180度より小さくなります。
この性質は私たちが住む3次元空間でも同じことが言えます。
2次元世界と同様に空間内で巨大な三角形を結び、その内角の性質を調べることで、この宇宙空間の曲率と、宇宙の形状を間接的に知ることができます。
なんと科学者は、誕生から1億年後の宇宙の大きさを底辺、現在の地球をもう一つの頂点として三角形を設定して、実際にその幾何学的な性質を調べました。
1億歳の宇宙についての情報は宇宙背景放射から得ることができます。
宇宙背景放射は宇宙誕生から約38万年後に宇宙空間に満たされた最初の光で、今の地球にも宇宙のあらゆる方向からほぼ均等にやってきています。
宇宙背景放射を用いた観測の結果、巨大な三角形はこの宇宙が平坦な宇宙であることを示す性質でした。
このような背景があり、現在ではこの宇宙は平坦な宇宙である可能性が高いと考えられています。
●平坦なドーナツ型とは
曲率が0の宇宙は平坦な宇宙、+の宇宙は閉じた宇宙、-の宇宙は開いた宇宙と呼ばれています。
閉じた宇宙では体積は有限となりますが、特定の方向に進み続けると同じ場所に戻ってくることができそうです。
またそれ以外の宇宙では端というものがない限り、特定の方向にどこまでも進み続けることができ、体積は無限に広がっているかもしれません。
私たちの宇宙が平坦であれば、その空間には果てがなく、どこまでも行けてしまいそうです。
ですが実は平坦な宇宙でも大きさが有限な場合が考えられます。
どういうことか、今回も空間が2次元である場合から考えましょう。
まず、平面上に長方形(もしくは正方形)を描きます。
そして、その長方形の向かい合った辺を同じものとみなします。
つまり、上の辺と下の辺はつながっていて、右の辺と左の辺もつながっているのです。
実際に長方形の端と端をつなぐとどんな形になるでしょうか?
長方形は伸縮・変形が自在なゴムシートのようなものでできているとします。
まず、長方形の左右の辺を貼り合わせます。
するとできるのは円柱の側面です。
この円柱をグイッと曲げ伸ばして上下の辺をくっつけます。するとドーナツの形になります。
このような形を数学的には「トーラス」といいます。
残念ながら、3次元空間の中では全ての点で曲率が0の平坦なトーラスを作ることはできません。
外側ではどの方向を見ても同じように曲がっているためプラスの曲率、内側では方向毎に曲がりの方向が異なるためマイナスの曲率になってしまいます。
実は、平坦なトーラスは、4次元以上の空間の中でしか実現できないのです。
4次元空間の中での平坦なトーラスの作り方については、非常に難しいのでここでの解説は割愛します。
まとめると、この宇宙が同じ平坦な宇宙であっても、ただ延々と空間が広がっている宇宙とは限らず、その形の候補の一つとして3次元の平坦トーラス型の宇宙が存在する、というわけです。
●平坦なトーラス世界の特徴
それではいきなり実際の宇宙と同じ3次元の話をする前に、話を簡単にするため、まずは再び2次元の平坦トーラスの中での物体の動きを考えてみましょう。
平面上のトーラスの実体は長方形でした。
ただし、上の辺と下の辺はつながっていて、右の辺と左の辺もつながっているという状態の長方形でした。
この長方形の中に二次元の人がいるとすると、真ん中から左の端まで行ってさらに進むと右の端から出てくることになります。
上の端まで行ってさらに進むと下の端から現れます。
パックマンのような昔のアーケードゲームや、僕も大好きなドラゴンクエストのようなRPGの世界はこんな感じになっていることがよくあります。
実は多くのゲームではトーラス状の世界となっていたわけです。
では話を2次元から、実際の宇宙と同じ3次元へと戻します。
3次元の平坦トーラスは具体的な形をイメージするのが難しいですが、その中での物体や光の動きを考えることはできます。
例えば天井や床を含めて、隣り合う6つの面全てが別の部屋に繋がっている直方体の部屋があったとしましょう。
どの方向でもいいので部屋を出ると、そこは元の部屋と寸分違わず全く同じ部屋なのです。
2次元のRPGの世界と似ていますね。
隣の部屋を見てみると、自分の後ろ姿が何人も無限に連なって見えます。
つまり、左右の部屋も上下の部屋も前後の部屋も全て今いる部屋と同じで、どの部屋にも自分自身が居るのです。
このように同じ構造がループしているのが、3次元の平坦トーラスの世界です。
●宇宙が平坦なトーラス型である証拠!?
私たちの宇宙がトーラスのように接続されているかどうかを理解するためのカギは、宇宙背景放射の中にあります。
初期の宇宙では物質の密度の揺らぎが波として存在していました。
これは音波によく似た性質を持っています。
音波も空気の密度の波だからです。
弦をはじいて出る音波の波長(音の高さ)は弦の長さによって決まります。
同じ様に宇宙の物質の密度の揺らぎの波長は宇宙の大きさによって制限されます。
宇宙より大きな波長の揺らぎは存在できません。
この宇宙の密度揺らぎの情報は宇宙背景放射から読み取ることができます。
密度揺らぎの波長に上限があれば、宇宙が有限であるという証拠になります。
さらにコンピュータシミュレーションで様々な宇宙の形を想定し、シミュレーション結果と実際の観測を照らし合わせることで、この宇宙がドーナツのように穴の開いた構造なのか否かということまでわかるそうです。
研究チームはコンピュータシミュレーションの結果と宇宙背景放射のデータを比較して、宇宙の大きさと形状を求め、その結果を2021年7月に発表しています。
研究の結果、宇宙の大きさはなんと観測可能な宇宙の限界(約450億光年)の約3~4倍程度であり、さらにドーナツのように穴の開いた構造である可能性が示されたそうです。
ただし仮に今回の研究の結果が正しかったとしても、宇宙の大きさは観測可能な宇宙よりも大きいので、無限に連なる自分の後頭部を見たりすることはできなそうです。
それでももし私たちが巨大な多次元の平坦ドーナツの表面に住んでいると考えると、本当にロマンがあると思います。
今後も宇宙の形にまつわる研究が進んでいき、新発見がもたらされることに期待しましょう。