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JR東日本渋谷駅新南口改札「移転」で山手線も使用可能に どう便利になった?

小林拓矢フリーライター
山手線・埼京線ともどもで渋谷駅は使いやすくなった(写真:イメージマート)

 JR東日本渋谷駅の南側、とくに国道246号線の南側に行く際には、不便を感じていた人も多かったのではないだろうか。ホーム階から階段を降りて南口を出て、国道246号線を横断歩道で越えて、ようやく桜丘町、そして鶯谷町へと行ける。

 この地域だけでも坂道の上下移動が激しいのに、駅に行くにも横断歩道や階段などがあり、地域の住民には不便なものであった。

 東急東横線地下化から始まる長い渋谷駅周辺再開発の中で、このあたりへのアクセスをどうしようか、という課題があった。

「新南口」というものはあったものの、以前は埼京線ホームからしか利用できず、しかも埼京線ホームからかなり歩いて出たところにはホテルメッツ渋谷(JR東日本系列のホテル)とオフィスビルしかないところで、JRの東側にしか行けず、不便なものであった。

 渋谷駅周辺の大規模再開発の際に、新南口そのものをあらためて、地域の人に使いやすいものにし、オフィスも含めた総合施設をつくって商業的にも豊かにするということが構想された。

 渋谷区・JR東日本・東急電鉄がタッグを組み、渋谷駅の利便性向上とエリア再開発を合わせた事業は少しずつ進められている。

 その一環として、JR東日本の渋谷駅新南口改札が移転し、山手線も埼京線・湘南新宿ラインも利用できるようになり、便利になった。

 この新南口改札は、7月21日から使用開始となった。さっそく行ってみることにした。

渋谷駅新南口の位置(JR東日本プレスリリースより)
渋谷駅新南口の位置(JR東日本プレスリリースより)

山手線ホームの南側にエスカレーター!

 従来、新南口改札は埼京線ホームだけのものだった。それも結構な距離を歩かされる。しかし、山手線ホームから階上に伸びるエスカレーターは、それだけで「便利になったのでは?」と考えさせられるだけの材料を感じさせた。

 改札階に上がると、新しい改札口が見えた。交通系ICカードをタッチする場所が斜めになっている最新型の自動改札機であり、QRコード対応予定の改札も見える。個室型シェアオフィス「STATION BOOTH」も備えられている。

 改札を出ると、「みどりの窓口」こそないが、指定席券売機もあり、「成田エクスプレス」停車駅として必要なものは備えられているとわかる。

 改札外の通路は暫定的に供用されているもので、まだ工事が終わっていない状態であり、多少狭苦しい。ただ、いずれ工事は終了するだろう。

渋谷駅新南口フロアの平面図(JR東日本プレスリリースより)
渋谷駅新南口フロアの平面図(JR東日本プレスリリースより)

渋谷の東西で使いやすくなる

 渋谷ストリーム方面へと向かった。駅はこの建物の3階に位置するところにあり、エスカレーターでまず2階へ、そこからはかなり幅の広い大階段だった。階段を降りると、別の箇所にエスカレーターがあり、そこを使って2階へと移動できることがわかる。

渋谷ストリームからJR新南口改札は直結している(筆者撮影)
渋谷ストリームからJR新南口改札は直結している(筆者撮影)

 上のフロアに移動しようとすれば、東京メトロ銀座線・京王井の頭線・JR線に行くことができるとわかるように示されている。なお地下フロアに行けば、東急東横線や東急田園都市線、東京メトロ半蔵門線、同副都心線に行くことができるとわかる。

 エスカレーター経由ではちょっと新南口改札には行きにくく、まだ表示も対応できていないところがあるものの、このルートが広まればもっと渋谷駅の利便性は増すことになるとわかる。

 渋谷サクラステージ方面は、地域住民待望のものとなっている。新しい商業施設へのアクセスだけではなく、地域住民が新南口を使用して渋谷駅の改札口にアクセスしやすくなるようになり、改札までの到達時間が数分下がることになる。

 渋谷駅の新南口が移設することで、各方面からJR各路線へのアクセスが向上し、便利になったといえる。

フリーライター

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。鉄道関連では「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」などに執筆。単著に『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)など。鉄道以外では時事社会メディア関連を執筆。ニュース時事能力検定1級。

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