新生アトレティコとシメオネの挑戦。J・アルバレス加入と次なるフェーズ。
「自分をスーパーヒーローだとは思っていない」
アトレティコ・マドリーの入団会見で、フリアン・アルバレスはそのように語った。今夏、マンチェスター・シティからアトレティコ への移籍を決断したアルゼンチン代表のストライカーだが、チームを救うために来たのではないと話している。
■高額な移籍金
アトレティコ は、アルバレス獲得に際して、移籍金固定額7500万ユーロ+ボーナス1000万ユーロでシティと合意した。ジョアン・フェリックス(移籍金1億2700万ユーロ)に次いで、クラブ史上2番目の移籍金で加入が決定している。
これは、ディエゴ・シメオネ監督にとっても、挑戦になる。
近年、フェリックス、トーマス・レマル(移籍金7200万ユーロ)と高額で獲得した選手を、シメオネ監督は使いこなせていない。「選手が監督や戦術に合わせるべき」と言われたらそれまでだが、しかしクラブが期待を懸けて獲得してきた選手たちだ。無碍にするべきではないだろう。
そこで、アルバレスの獲得が決まった。アルバレスと、シメオネ監督と、アトレティコへの期待値は、当然、高まっている。
■主導の立場
ただ、フェリックスやレマルとアルバレスでは、異なる点がある。
フェリックスとレマルが「クラブ主導」の補強だったの対し、アルバレスに関しては「監督主導」、つまりシメオネが欲しての移籍成立だった。
シメオネ監督は、パリ五輪に参加していたアルバレスに、ジュリアーノ・シメオネを通じて、電話を掛けていたという。それくらい、アルバレスの獲得に執心していた。
一方、アルバレスは、シティで燻っていた。
昨季、アルバレスが多くの試合でプレーしていたのは事実だ。ケヴィン・デ・ブライネの負傷の影響もあり、アルバレスは公式戦54試合に出場した。
だが3478分のプレータイムで、アルバレスはCF(38%)、ウィング(29%)、トップ下(25%)と複数ポジションでプレーしなければいけなかった。このあたりが、アルバレスが不満を溜め込んだ原因だろう。
アトレティコは、この夏、アルバロ・モラタとメンフィス・デパイが退団した。「9番」のポジションは、空白だった。アルバレスが移籍する準備は、整っていた。
■新生アトレティコの戦術
アルバレスは、1トップでも、2トップの一角でもプレーできる。
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