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新生マドリーのシステム論とクロースの不在の在。

森田泰史スポーツライター
今季初のタイトルを獲得したマドリー(写真:ロイター/アフロ)

今季、最初のタイトル獲得に成功した。

レアル・マドリーは、UEFAスーパーカップでアタランタと対戦。フェデリコ・バルベルデとキリアン・エムバペのゴールで、2−0で勝利を収めている。

■エムバペとヴィニシウスの躍動

アタランタ戦で、注目されたのはエムバペだ。だが躍動したのはヴィニシウス・ジュニオールだった。

ヴィニシウスはバルベルデの先制ゴールをアシストしただけではなく、試合を通じてアタランタの守備陣をキリキリ舞いにした。2トップの一角ではなく、左ウィングに置かれて、本来のプレーを取り戻していた。

無論、エムバペの加入で、マドリーは3トップに回帰したので、これもエムバペのおかげだと言うこともできる。だが、いずれにせよ、エムバペのデビューマッチで輝いたのは「9番」ではなく「7番」だった。

先制点は打撃だった。マドリーの6度目のUEFAスーパーカップ優勝、カルロ・アンチェロッティ監督のマドリーでの14度目のタイトル獲得が、見え始めた。なお、アンチェロッティ監督は、ミゲル・ムニョス氏に並ぶタイトル数の偉大な記録に並んだ。

躍動したヴィニシウス
躍動したヴィニシウス写真:Maurizio Borsari/アフロ

アタランタは苦しかった。負傷者続出、クラブ内のゴタゴタと、トラブルのダブルパンチに見舞われていた。そこに、エムバペのいるマドリーに、ゴールを許した。意気消沈したのも無理はなかった。

とはいえ、ヨーロッパリーグの王者だ。アタランタは、オーガナイズのとれた、よく鍛えられたチームだった。戦術的にもしっかりしていて、選手たちは規律を乱さずに動いていた。

■クロースの不在の在

一方、マドリーにとっては、トニ・クロースの不在の在を感じるゲームになった。

全身を煌びやかにコーティングしているが、中身がきちんとしていない。2点目のシーンのように、エムバペ、ヴィニシウス、ロドリゴ・ゴエス、ジュード・ベリンガムが絡んだ時、確かな化学変化の反応は感じるが、それも一瞬の閃光だ。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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