大学講師、情緒不安定な女子学生の要求で全裸に:パーソナリティの偏りと人間関係の歪み
■大学講師、女子学生の要求で全裸に
大学構内で全裸になった男性講師のニュースで、続報がありました。
上記の記事に、Yahoo!オーサーコメントを書きました。
大学側の説明を聞いても、なお不明点は多い。想像できる一つのパターンとしては、次のようなものがある。
「女子学生は、能力もあり魅力的だとしても、パーソナリティの偏りなど何らかの原因により「日頃より情緒不安定」だった。このようなタイプの人は、しばしば甘え、暴力、自殺のほのめかしなど様々な方法で周囲を激しく振り回す。男性講師は、恋愛感情や彼女を守ろうとする思いから、これまでかなり無理な要求にも応じてきたが、今回とうとう破綻してしまった。」
真相は不明である。しかしいずれにしても、病んでいたのは二人の人間関係だったとは言えるだろう。男性講師による行動の動機は、善意だったかもしれない。しかし、「日頃より情緒不安定」な人を支えるためには、要求に従うだけではなく別の方法があったはずである。
(碓井真史2015/01/10 )
大学のホームページには、次のような説明もありました。
■極端なわがまま、トラブルメイカー:パーソナリティ障害
今回の事件の詳細は、不明です。女子学生のことも、大学が発表ししている以上のことはわかりません。ただ一般論ですが、世の中には極端な人々がいます。
人には様々な個性があり、それは良いことです。気が長くても短くても、にぎやかでも静かでもOKです。しかし、個性の範囲を超えたパーソナリティーの偏りを持つ人もいます。
たとえば、「パーソナリティ障害」と言われるパーソナリティの極端な偏り、歪みがあります。パーソナリティ障害にも、いくつものパターンがありますが、その中に、極端なわがまま、トラブルメイカーに人もいます。
「障害」という名前がついているとはいえ、一目で分かるものではありません。むしろ、能力が高く魅力的な人々もいます。しかし、心の底に強い不安、「見捨てられ不安」を持つ人がいます。
このために、様々な方法を使って人を操ろうとする人がいます。この人たちは、悪人ではないのですが、結果的にトラブルメイカーになってしまいます。
■男性講師はなぜ全裸になったのか
女子学生は魅力的だったのでしょう。二人は同居しています。あるいは、男性講師は何とか彼女を守ろうとしたのかもしれません。今回の件は詳細は不明ですが、しかしここまで大きく報道されなくても、似たようなケースはあります。
常識的には、言うことが聞けるわけがない無茶な要求です。でも、想像してください。あなたが無茶な要求を受ける。あなたは、その人のことを心配し、友人や家族や恋人として何とかその人を守りたいと考えている。その相手が言います。「言うことを聞いてくれなかったら、自殺する」「街で体を売る」「家をメチャクチャにしてやる」。実際に自殺未遂をしたり、暴力をふるうこともあります。
あなたは、「好きにしろ!」と言い放てるでしょうか。
■困った人を支えるために
今回の男性講師の行為を、仕方がなかったと認めるつもりはありません。結果的に、世間を騒がし、周囲の人にショックを与え、大学に迷惑をかけました。また女子学生にも関係者にも、良いことはありません。
一般論論ですが、パーソナリティ障害の人に振り回される人は、たいてい善人です。今回の男性講師も、評判の良いまじめな人だったようです。「見捨てられ不安」が強いタイプのパーソナリティ障害を持つ人は、悪意はありません。見捨てられないために、何とか相手に捨てられない方法を考えているのですが、それでも不安が消えないために、無茶なことを言ってくるのです。
その要求全てに答えることが良いのではありません。そんなことを続けて、気力が続かなくなったり、今回のように破綻してしまえば、結局は相手を助けることにもならないからです。
このような人々をつぶそうとして問題を悪化させるのも、逆に奴隷化して要求に従ってしまうのも、歪んだ人間関係です。
「最初はあなたが我慢と努力をかさね、何とか上手くいくかもしれません。しかし、疲れます。あなたが倒れれば、相手も倒れます。境界性パーソナリティーの人を助ける最も良い方法は、「普通の人間関係を長く続ける」です。」(「パーソナリティ障害の人とのつきあい方」:Yahoo!ニュース個人有料「心理学であなたをアシスト!:人間関係がもっと良くなるすてきな方法」)
20世紀は自分を責めるタイプの神経症(ノイローゼ)の時代でしたが、21世紀は周囲を巻き込むパーソナリティ障害の時代かもしれません。パーソナリティ障害を理解し、共に生きていく方法を学ぶことは、これからの私達の課題なのかもしれません。
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