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100年に1度のいちごイヤーを疑う

東龍グルメジャーナリスト

100年に1度の<いちごイヤー>

2015年は100年に1度の<いちごイヤー>であることをご存じでしょうか。

スイーツもイチゴも大好きで、イチゴに関する記事も書いていたりするので、個人的には注目しています。この<いちごイヤー>を応援したい気持ちはあるのですが、実は今ひとつ腑に落ちません。

というのも、この<いちごイヤー>は何かのお祝いや歴史的なできごとが由来となって制定されたものではなく、今年1年をしのぐためだけのおざなり感があるからです。

<いちごイヤー>の由来

あまおう苺のパフェ(タカノフルーツパーラー)
あまおう苺のパフェ(タカノフルーツパーラー)

<いちごイヤー>と言われている理由は単純です。

西暦下2桁を切り出して「15」→「1」「5」→「いち」「ご」→「いちご」と連想を進めただけの語呂合わせがもとになっており、「【パンケーキの日】パンケーキは日本の国民食となれるのか?」でご紹介した<パンケーキの日>のように由緒正しきものでありません。100年に1度だけ下2桁が「15」になるということで、グルメ業界が盛り上がっているのです。

いえ、正確には盛り上がっているのではなく、商業的な理由で盛り上げようとしているのです。ただ、もともとモノを売るということ、しかも、グルメようなカジュアルな分野においては、注目度や露出具合が何よりも大切なので、こういった戦略が間違っているとは特に思いません。

気になっているのは、この<いちごイヤー>が本当に盛り上がっているかどうか、ということです。

いちごの検索ワード

どれくらい盛り上がっているかを、検索キーワードで調べてみましょう。Googleトレンドを使って、検索数の推移を見てみます。

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すると図のように、確かに「いちご」関連の検索数が増えています。毎年いちごのシーズンになると注目されるのは当然のことですが、数年にわたったグラフなので、2015年は注目されていると言えなくもありません。

では、<いちごイヤー>について調べてみるとどうでしょうか。

画像

結果は惨憺たるもので、<いちごイヤー>についてはほとんど調べられていないようです。この結果を考えてみると、たとえ「いちご」関連の検索数が増えているとしても、これはどうやら<いちごイヤー>が後押しをしたわけではない、ということになるでしょう。

ストロベリースイーツブッフェ

マーブルラウンジ(ヒルトン東京)
マーブルラウンジ(ヒルトン東京)

では、いちごフェア自体は多いのでしょうか。

季節によって、フェアが新しくなるスイーツブッフェに注目すると、東京近郊でストロベリーデザートブッフェを行っているところは以下の通りです。

  • マーブルラウンジ(ヒルトン東京)

2月末まで満席

  • ザ・テラス(ウェスティンホテル東京)

毎日満席

  • シーウインド(横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ)

3月末まで満席

  • ベイ・ビュー(同上)

3月末まで満席

  • ソマーハウス(横浜ベイホテル東急)

4月末まで満席

  • ラウンジ ザ・ラウンジ(ホテルニューオータニ幕張)
ザ・テラス(ウェスティンホテル東京)
ザ・テラス(ウェスティンホテル東京)

ストロベリースイーツブッフェを行っているところは、だいたい例年と同じくらいですが、初動は例年よりも優れているようで、開始当初から既に数か月先まで満席となっているところが多いです。目新しいブッフェが始まったわけではありませんが、ストロベリースイーツブッフェに関しては2015年は勢いがあるとみてもよいかも知れません。

ストロベリースイーツ

では、ストロベリースイーツではどうでしょうか。

イチゴを扱ったスイーツというだけであれば、きりがないので、イチゴフェアを行っているところを挙げてみます。

エキストラスーパーあまおうショートケーキ(SATSUKI)
エキストラスーパーあまおうショートケーキ(SATSUKI)
  • SATSUKI(ホテルニューオータニ)

いちごフェア

  • フィオレンティーナ ペストリーブティック(グランド ハイアット 東京)

苺スイーツ&ブレッド

  • ORIGAMI(ザ・キャピトルホテル東急)

ストロベリーフェア2015

  • ベランダ(ホテル日航東京)

スカイベリーアフタヌーンティー

  • キルフェボン

ストロベリーWeek、13種類のストロベリータルト

  • タカノフルーツパーラー

旬菓が苺

パリブレスト(フィオレンティーナ ペストリーブティック)
パリブレスト(フィオレンティーナ ペストリーブティック)

挙げるだけ挙げてみたものの、もちろんどれもおいしいことは確かですが、毎年人気のものばかりであり、特に目新しいものは見掛けられませんでした。ストロベリースイーツで目を見張るような画期的なメニューが開発されたり、特定の商品が売り切れていたりという話もまだ聞いていません。従って、ストロベリースイーツに関しては、2015年で大きな変化はないようです。

いちごイヤーTweet

ここまで2015年のいちごについて考えてきましたが、「100年に1度」という割には爆発力が不足していることは否めません。そう言えば、「爆発力」=「瞬発力」ということであれば、Twitterのつぶやきを調べてみなければと思い当りました。

Yahoo!リアルタイム検索で「いちごイヤー」のTweetを調べてみると、以下の通りになります。

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確かに、年が明けてから少しずつ増えていますが、もともとのボリュームが少ないので<いちごイヤー>が注目されているかどうかで言えば、否でしょう。<いちごイヤー>に対してネガティブな感情が4%あることは興味深いところですが、<いちごイヤー>のことが気になって仕方がなく、つぶやかれているという状況にはないようです。

世界で最もいちご好きな日本人

ない知恵を絞ってあれこれ調べてみましたが、いちごのシーズンが盛り上がっていることは確かでありながらも、あくまでも例年通りのようであり、<いちごイヤー>だから特別な盛り上がりをみせているという確証は得られませんでした。

ただ、初心に返ってよくよく調べてみると、日本人は世界で一番の消費量を誇るといういちご好きな人種であり、さらには、世界に1000種類以上あるといわれている品種のうち、4分の1を開発したという、いちごの栽培技術が卓越した民族であるのです。

こういったことを鑑みると、あまり意味の感じられない語呂を合わせてみて、「100年に1度」の<いちごイヤー>であることを強調し、どういうことなのだろうと由来を調べてみた人にガッカリ感を与えるよりも、日本は世界的にみてみれば「毎年」が<いちごイヤー>であることに変わりはないので、例年通りに粛々と<いちごイヤー>を謳っていた方が「100年に1度」の恋も覚めなくてよいのではないかと思うのですが、いちごに恋するみなさんはどう想っていることでしょうか。

参考

「ザ・テラス」「マーブルラウンジ」「フィオレンティーナ ペストリーブティック」「タカノフルーツパーラー」についてはリンクにも詳しく掲載されていますので、ご参考にどうぞ。

元記事

レストラン図鑑をご参考にしてください。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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