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今年一番の暑さ、これから連続する真夏日や猛暑日

饒村曜気象予報士
高気圧に覆われる日本列島(8月4日12時)

梅雨明け

 令和2年(2020年)の梅雨明けは、沖縄地方では6月12日と、平年より11日も早い梅雨明けでした。

 当初は、各地で平年より早い梅雨明けとみられていました。

 しかし、梅雨前線の活動が活発で、「令和2年7月豪雨(7月3日~31日)」が発生し、各地の梅雨明けが遅れていました。

 それも、記録的に遅れていました(表)。

表 各地の梅雨入りと梅雨明け(令和2年(2020年))
表 各地の梅雨入りと梅雨明け(令和2年(2020年))

 鹿児島県奄美地方が梅雨明けしたのは、平年より21日も遅い7月20日でした。

 その後、7月28日に九州南部が梅雨明けしたのに続いて、8月2日に北陸と東北南部が梅雨明けするまで、続々と梅雨明けとなっていますが、いずれも平年より大幅に遅い梅雨明けでした。

 また、梅雨明けをしていない東北北部は、立秋(8月7日)までに梅雨明けを発表すれば、平年よりかなり遅い梅雨明け、立秋までに梅雨明けを発表しなければ「梅雨明けが特定できない年」ということになります。

 初夏の現象である梅雨は、秋の初めである立秋以後まで続けないとの考え方です。

 ただ、梅雨明けを特定しない年であっても、どこかで梅雨が明け、翌年には再び初夏に梅雨入りがあります。

8月4日の暑さ

 令和2年(2020年)8月4日は、梅雨がない北海道と梅雨明け間近の東北北部を除き、高気圧に覆われ晴天になっています(タイトル画像参照)。

 南から暖気が北上し、強い日射も加わって気温が上昇し、福岡県太宰府市で36.2度など、西日本を中心に34地点(気温を観測している926地点の約4パーセント)で猛暑日(最高気温が35度以上の日)となっています。

 また、北海道佐呂間町で32.7度など、日本全国の678地点(約73パーセント)で真夏日(最高気温が30度以上の日)を観測しています。

 猛暑日の観測地点数、真夏日の観測地点数ともに、現時点で令和2年(2020年)最多となっています(図1)。

図1 令和2年(2020年)の真夏日と猛暑日の観測地点数 
図1 令和2年(2020年)の真夏日と猛暑日の観測地点数 

 7月20日に真夏日の観測地点が50パーセントを超えるなど、一時は、平年並みの梅雨明けを思わせるように太平洋高気圧が強まって暑い日が続いたのですが、その後、寒気が南下して梅雨寒になっています。

 7月末からの各地の梅雨明けに伴って、真夏日や猛暑日が増えていますが、8月4日が暑さのピークではありません。

 暑い日は今後も続きます。

熱中症の死者

 消防庁が発表した熱中症による死者数は、年による増減があるものの、25年前に比べると、増加しています(図2)。

図2 熱中症による死者数の推移(消防庁による)
図2 熱中症による死者数の推移(消防庁による)

 その間に、気温の急激な上昇はありませんので、増えた原因を気温だけに求めることはできないと思います。

 湿度が増加して熱中症にかかりやすくなったのかもしれませんし、高齢化の進んだことによって熱中症が重症化しやすくなったのかもしれません。

 もっと原因究明が必要と思いますが、事実として熱中症の死者が増えています。

8月5日以降の暑さ

 気温だけでなく、湿度や日照などを加味した熱中症の危険度が環境省から発表されています。

 8月5日も、8月4日と同様に、全国的に暑い日となる予報ですが、熱中症の危険度から警戒すべきは、東海地方から西日本です(図3)。

図3 熱中症の危険度(8月5日の日最高値の予想、環境省の予測をもとにウェザーマップ作成)
図3 熱中症の危険度(8月5日の日最高値の予想、環境省の予測をもとにウェザーマップ作成)

 所々で、熱中症警戒レベル5の「極めて危険」があります。

 また、北海道でも熱中症警戒レベル3の「厳重警戒」のところがあります。

 東海地方から西日本で熱中症が危険なのは5日だけではありません。

 週末は、西日本で最高気温が少し低くなる、といっても30度は楽に超える高い気温予報です。

 しかし、来週は東京から西の地方では、最高気温が35度以上の猛暑日予報の日が続きます(図4)。

図4 各地の最高気温の予想。
図4 各地の最高気温の予想。

 熱中症対策は、8月5日で終わるのではなく、来週はもっと必要になります。

新型コロナウィルス対策と熱中症

 夏は、毎年のように熱中症に警戒が必要ですが、特に令和2年(2020年)は、新型コロナウィルスの出現に伴い、感染症防止の3つの基本である「身体的距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗いや3密(密集、密接、密閉)を避ける」等の「新しい生活様式」が求められています。

 このマスク着用は、熱中症の危険性をさらに高めます。

 マスクをつけていると、体の渇きを感知しにくく、水分補給が不十分になるといわれていますので、熱中症は普段より低い気温で発生すると考えたほうがよいでしょう。

 令和2年(2020年)5月に、環境省と厚生労働省は「新しい生活様式」における熱中症予防行動をまとめていますが、この中で、屋外では人と十分な距離(2メートル以上)を取ったうえで、マスクを外すことを求めています。

 また、「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントは次のようになっています。

1 暑さを避けましょう。

2 適宜マスクをはずしましょう。

3 こまめに水分補給しましょう。

4 日頃から健康管理をしましょう。

5 暑さに備えた体作りをしましょう。

タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

図2の出典:消防庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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