【実は性格によってランニングフォームが異なる?】ランナーの走りと性格を分析した論文から
2018年のギリシャからの総括論文で、ランナーの性格は「控えめで地味で意思が強い、内気で真面目で自信がある」といった傾向があると報告していました。さらに速いランナーは「感受性が高く活動的」という特徴があると、以前自分の記事で紹介しました。
ですがランナーか否か、そして走る速さにとどまらず、性格の違いはランニングフォームにも影響するようです。性格の違いによるランニングフォームの差異を調べた研究があるので見ていきましょう。
市民ランナー80人の調査
文献は2024年のフランスからのものです。市民ランナー80人(男性67人、女性13人)を調べたもので、年齢の平均は約30歳です。MBTIという性格特性を調べるテストを行い、ランニングフォームの違いがあるかを調べています。MBTIでは外向型-内向型(興味関心の方向)、感覚型-直観型(ものの見方)、思考型-感情型(判断の仕方)、判断型-知覚型(外部との接し方)の4つの軸に沿って分類します。そして調べた結果、感覚型-直観型の間でランニングフォームの違いが見られたようです。
では感覚型-直観型とはなんでしょうか。MBTIでいう感覚型とは、五感を通して直接的に得られる情報を重視します。具体的な情報を好み、経験やデータを重視します。野球で言うと古田さんのID野球のような感じかもしれません。対して直観型とは、具体的な事実よりも、その背後にあるパターンや関連性を好む傾向があります。野球で言うと巨人の長嶋さんのような感じかもしれません。では、そんな2つの性格がランニングフォームにどう影響するのでしょうか
感覚型-直観型のランニングフォームの違い
実際にランニングを行いバイオメカニズム変数を調べていくと、感覚型のランナーは走行速度に関わらず、接地時間が長く滞空時間が短いランニングフォームでした。そして直観型ランナーは、その逆の傾向がありました。
走るのは50m程度ですが、3.3m/秒(キロ5分3秒)から5.0m/秒(キロ3分20秒)の速さで走行しています。キロ3分20秒は結構な速さですから接地時間が短く、滞空時間が長くなっています。ですが感覚型のランナーの方が直観型のランナーよりも、接地時間が長く地に足がついた走りというのは変わらなかったようです。
感覚型ランナーは接地時間が長く、直観型ランナーは滞空時間が長い走り
堅実的な現実志向の感覚型のランナーは、接地時間の長い地に足がついたランニングフォームが多く、感覚的な未来志向の直観型ランナーは、滞空時間の長い走りをするようです。
ランニングが性格によって変わるなら、もしかすると気分でもフォームが変わり環境でも変わるといったこともあるかもしれません。沈んだ気分で走っているよりも明るいことを考えて走る、毎日同じコースを走るよりも時々は違うコースを走ったりする。そんなことでランニングフォームも変わってくるかもしれません。
また、まるで競歩のような上下動の少ない接地時間の長い走りのランナーや、ハードルでも超えるかのような飛び跳ねるフォームのランナーは周囲にいませんか?もしいたら、性格を聞いてみると面白いかもしれません。