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民進党総務部門会議にて若者の政治参加について提言してきました

室橋祐貴日本若者協議会代表理事
日本若者協議会主催「被選挙権年齢・供託金引き下げシンポジウム」にて

5月18日、民進党総務部門座長の奥野総一郎衆議院議員にお声掛け頂き、民進党総務部門会議に参加してきました。

筆者が代表理事を務める日本若者協議会が3月7日に主催した「被選挙権年齢・供託金引き下げシンポジウム」に奥野議員が出席して頂いたご縁からでしたが、民進党は既に「被選挙権年齢の5歳引き下げ法案」を提出していますので、政治参加の中でも特に供託金について説明してきました。

(関連記事:「同世代に立候補者がいないのに投票を強制されている」西田亮介氏に聞く18歳選挙権と若者の政治参加

なぜ若者の政治参加が必要か?

なぜ若者の政治参加が必要か。その理由は様々なところで語られていますが、端的に言えば、長期的な視野を確保するため&若者政策を実行に移すため、であると考えています。

ここ数日、経産省の若手がまとめたレポート「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」が話題ですが、少子高齢化や非正規社員の増加による生活の不安定化、日本型雇用システムの限界といった課題は20年前からわかっていたことであり、目先の成果にとらわれ、中長期な課題を放置してきたことが最大の問題です(実際、こういう「日本ヤバい」系の記事はほぼ毎年バズってます)。

そして、その解決策の一つが、若者の声を政策に反映していく仕組みを作ることだと考えています。若者が必ずしも中長期的な課題を見ている訳ではありませんが、少子化を筆頭に、今の10代〜30代の若者の課題を解決することで結果的に20年後の発展に繋がる可能性は高いです。

しかし、現状20代の国会議員は1人も存在せず、全国会議員のうち30代議員が占める割合は5.17%だけです。

地方の議員を見ても、県議会や市議会議員に占める30代以下の議員は8%台。

もちろん若者がもっと投票に行くことも重要ですが、仕事や子育てで忙しい若者世代の投票や集会に参加するコストは相対的に高い上(その意味でネット投票も提言しています)、人口構造的にも限界があります。高齢者の声も重要ですが、現状はあまりにも若者の声が反映されていないのではないかと。

中と外から若者の声を届ける仕組み

では、具体的にどう反映させていくのか。

一つは若手議員を増やす、つまり若者が出馬しやすい環境を作ること(政策立案・決定)。

もう一つは、行政(政策立案)に関わる若者を増やすこと、です。

若者が出馬する上でのハードルは大きく2つ、年齢による制約と金銭的な問題です。

前者の年齢は絶対条件であり、25歳未満はそもそも出馬する権利がありません。社会的経験がないなど反対する理由もあると思いますが、政治家としての質は選挙を通して見極めればいいのであり、出馬自体を制約する理由はないと思います。(現実的な年齢としては、実質的に義務教育と化している高校卒業後の18歳以上もしくは成人年齢と同じ20歳以上だと思いますが)

後者のお金に関しては、同じ金額でも資産形成の遅れている若者の方が不利な仕組みであり、お金をかけなくても効果的な選挙活動ができるように規制緩和も必要ですが、まずは日本だけが異常に高い供託金を変えるべきです。

海外では、ほとんどの国で供託金がなく、高くても10万円程度です。

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一定の質担保といった理由もありますが、日本の議会への信頼はOECD諸国の中でも低い分類に入り、供託金の多寡は関係ありません。

どうしても質の担保をしたいと考えるならば、スウェーデンなどで行われている一定数の署名を集める方法も検討に値します。

そもそも、候補者が乱立しているのならまだしも、現状は政治離れが深刻で無投票選挙になってしまっているところも少なくない。

そうした現状を踏まえれば、なるべく政治参加のハードルを下げるべきであり、供託金は完全に撤廃もしくは10万円程度まで大幅に引き下げるべきだと考えています。

以上は若手政治家を増やすことで若者の声を反映させていく方法を考えてきましたが、行政の中で政策立案に関わる若者を増やす方法も考えていきたいと思います。

その方法は二つあります。

一つが、審議会委員の年代別クオータ制です。

現在の審議会は、有識者ということもあり50代以上が大半を占めていますが、各世代の意見を反映させるという点では不十分であり、例えば20%は30代以下が占めるなど、審議会委員の年齢構成を変えるべきではないかと思います。

もう一つが、若者協議会の設置です。

スウェーデンでは、若者に影響を及ぼす政策を実施する際は、若者の声を聞くことを義務付ける若者政策法というものがありますが、その声を聞く/実施する代表者として若者政策担当大臣、若者の声を集約する全国若者協議会(LSU)という仕組みが出来上がっています。

こうした仕組みを参考に、若者を中心とした審議会(若者協議会)を設置することを提言しています。

今まで若者政策が軽視されてきた理由は、「シルバーデモクラシー」と言われるような選挙における高齢者重視の側面も当然ありますが、 若者が今何を求めているのかがわかっていないという側面も大きいと思っています。そのためには、若者世代の意見を可視化していくことが重要であり、若者協議会のような機能が求められているのではないでしょうか。

短い時間であり、細かい話はできませんでしたが、与野党ともに若者が政治参加しやすい環境作りを進めていただき、なるべく全世代の声を踏まえた上で政策決定していくことを期待しています。

日本若者協議会代表理事

1988年、神奈川県生まれ。若者の声を政治に反映させる「日本若者協議会」代表理事。慶應義塾大学経済学部卒。同大政策・メディア研究科中退。大学在学中からITスタートアップ立ち上げ、BUSINESS INSIDER JAPANで記者、大学院で研究等に従事。専門・関心領域は政策決定過程、民主主義、デジタルガバメント、社会保障、労働政策、若者の政治参画など。文部科学省「高等教育の修学支援新制度在り方検討会議」委員。著書に『子ども若者抑圧社会・日本 社会を変える民主主義とは何か』(光文社新書)など。 yukimurohashi0@gmail.com

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