4人に1人が「次の衆院選で、気候変動対策の公約次第で投票先を変えうる」世論調査結果より
連日猛暑日が続き、災害も激甚化・頻発化するなど、地球温暖化の影響を直に感じる機会が増えてきた。
一方、先月行われた自民党総裁選や立憲民主党代表選では、原発など一部エネルギーは議論になっていたものの、気候変動対策には十分な議論時間が割かれていなかった。
近く衆議院選挙(10月15日公示、10月27日投開票)も始まるが、争点になる気配はない。
そこで日本若者協議会では、一般有権者は気候変動対策にどのくらい注目しているのか、その政策次第では、投票先も変わりうるのかを把握するために、調査会社を通じて、衆院選と気候変動対策の議論に関する世論調査を行った。
結果としては、「総選挙で、気候変動対策や脱炭素について、争点として議論するべき」と回答した人は54.7%で、「総選挙で、気候変動への対応を公約に掲げた候補者が現れたら、その候補者に関心を持つ」と回答した人は40.24%、「総選挙で、気候変動への対応を公約に掲げた候補者が現れたら、普段の政治観が異なっていても、投票を検討する」と回答した人は25.78%となった。
4人に1人が、気候変動対策の公約次第では、投票先を変えうるという、想像以上に高い結果となった。
調査は少し涼しくなった10月初旬に実施したため、猛暑日が続いていた9月に実施したら、もっと多い結果になったかもしれない。
調査結果の詳細や記者会見の様子は、日本若者協議会のホームページから見れる。
https://youthconference.jp/archives/8103/
調査結果概要
- 総選挙で、気候変動対策や脱炭素について、争点として議論するべきと回答した人は54.7%
- 総選挙で、気候変動への対応を公約に掲げた候補者が現れたら、その候補者に関心を持つと回答した人は40.24%
- 総選挙で、気候変動への対応を公約に掲げた候補者が現れたら、普段の政治観が異なっていても、投票を検討すると回答した人は25.78%
- 総選挙で重視したいテーマについて、外交・安全保障(16.6%)、少子高齢化(16.1%)、政治改革(15.0%)と並び、「気候変動・脱炭素社会・エネルギー・環境」は14.7%(複数回答)
調査方法
調査手法:オンライン調査(調査ツール:Freeasy)
調査期間:10月4日〜7日
有効回答数:4900 ー7エリアごと700回答ずつ回収
<エリア>
- 北海道・東北(北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県)
- 関東 (茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県)
- 中部(新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県)
- 近畿 (三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県)
- 中国 (鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県)
- 四国 (徳島県 香川県 愛媛県 高知県)
- 九州・沖縄 (福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県)
可能な限り男女、年齢(10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代以上)を均等に回収
※10代は有権者である18歳、19歳に限る
総選挙で重視したいテーマとして、外交・安全保障、少子高齢化、政治改革と並ぶ
いくつか、特に注目したい結果を紹介しよう。
まず、「10月27日に投開票が行われる予定の衆議院選挙で、あなたが重視したいテーマは何ですか?以下の選択肢から3つ選んでください。」という質問では、回答者の半数以上が「社会保障(年金・医療・介護など)」と「物価高」を重視したいテーマとして挙げたが、「気候変動・脱炭素社会・エネルギー・環境」は、14.7%の回答者が重視したいテーマとし、外交・安全保障(16.6%)、少子高齢化(16.1%)、政治改革(15.0%)と並ぶ注目度だった。
同じ注目度の安全保障や少子化対策らが争点になっている現状を踏まえれば、気候変動はもっと注目されて良いのではないだろうか。
続いて、「衆院選で、気候変動対策や脱炭素について、争点として議論するべきだと思いますか?」という質問では、回答者の半数以上(54.7%)が争点として「議論すべきだと思う」または「どちらかと言えば議論すべきだと思う」と答えた。
4人に1人が「次の衆院選で、気候変動対策の公約次第で投票先を変えうる」
次に、「衆院選で、気候変動への対応を公約に掲げた候補者が現れたら、その候補者に関心を持ちますか?」という質問では、「関心を持つ」「どちらかと言えば関心を持つ」と答えた回答者は、40.2%だった。
さらに、「衆院選で、気候変動への対応を公約に掲げた候補者が現れたら、普段の政治観が異なっていても、投票を検討しますか?」という質問では、「検討する」「どちらかと言えば検討する」と答えた回答者は25.8%だった。
年代別に結果を見ると、10代と60代以上の関心度合いが特に強く、10代で「投票を検討する」または「どちらかと言えば投票を検討する」と回答した人は28.3%だった。
また一般的に、家計に余裕のある人の方が気候変動対策といった、家計に直結しにくいテーマに対しては関心が低そうなイメージがあるが、家計の状態が「どちらかと言えば苦しい」と回答した人の57.0%、「苦しい」と回答した人の51.7%が「議論するべきだと思う」「どちらかと言うと議論すべきだと思う」と回答した。
それぐらい、地球温暖化の影響が日常生活に直結してきている証左かもしれない。
また本来は、断熱や省エネを進めば進めるほど、経済的なメリットも大きく、家計に余裕のない人が気候変動対策に注目するのは合理的であると言える。
「気候変動」をもっと争点として取り上げて
今回の世論調査結果を受けて、日本若者協議会で活動する大学生、芹ヶ野瑠奈さんは「気候変動を争点として取り上げてほしい」とコメントを寄せている。
また同じく大学生の冨永徹平さんは、『今回の総選挙の公約では、多くの政党がGXや脱炭素という言葉で気候変動対策をまとめている。そして、多くの若者や有権者は、産業や電力供給の視点のみで語られる気候変動対策に当事者としての実感を持てずにいる。一方で、気候変動対策では、全ての政策分野でGHG排出削減や災害対策をしなければいけない。そのため、社会保障や物価高、街づくり、健康などの問題にも大きく関わる。候補者やメディアには、有権者と実りあるコミュニケーションを取るため、様々な政策分野の身近な問題として気候変動対策を語ってほしい。』とコメントしている。
調査結果の詳細や記者会見の様子は、日本若者協議会のホームページから見れる。