世界トレンド1位に、ドームツアー完売。炎上を乗り越えた、すとぷりの凄さ。
YouTubeなどで人気のエンタメユニット「すとぷり」が、武道館に東京ドームに、とゴールデンウィーク中にライブを立て続けに開催し、大きな盛り上がりを見せていたようです。
特に、5月2日、3日に開催されていた武道館ライブにおいてはツイキャスを活用したオンライン配信も実施されていた関係で、ライブの公式ハッシュタグが世界のトレンド1位に入るという快挙も達成したようです。
参考:すとぷり武道館ライブがGWを席巻 「Strawberry Party!!」がトレンド1位達成
しかも並行して開催されているドームツアーは、全国4カ所をまわっているのにチケットはすべて完売と言うからすさまじい人気です。
さらにゴールデンウィークの週末の土日には、ツアー成功の喜びを爆発させるかのように、なんと24時間のリレー生放送も実施。
最後には新曲「シルベボシ」を発表するという、すとぷりファンからすると夢のような1週間になっていました。
実際にツイート数のグラフを調べて見ると、ライブの公式ハッシュタグももちろんですが、「すとぷり」という言及数がGW中に大きく盛り上がっているのが良く分かります。
ピークの7万1千ツイートというのも凄い数字ですが、ゴールデンウィーク中全体にツイートの山ができているのが良く分かると思います。
炎上騒動を乗り越えての快挙
すとぷりの今回のライブで興味深いのは、直近の炎上騒動を乗り越えて今回の快挙に辿り着いているという点です。
すとぷりというと、ネットの話題に詳しい方には、3月にリーダーである、ななもり。さんが女性関係のスキャンダルで炎上したのが記憶に新しいかもしれません。
参考:「すとぷり」ななもり。さんが活動休止 女性関係のスキャンダル暴露され炎上
活動休止した、ななもり。さんが、すとぷりのリーダーである上に、運営会社である株式会社STPRの代表取締役でもあることから、すとぷり自体の活動の継続が不安視された時期もありました。
ただ、他のメンバーやスタッフの誠意ある対応もあった結果、多くのファンは炎上を機にファンをやめるのではなく、引き続き、すとぷりのファンでいることを選択されたようです。
特に株式会社STPRの担当の方が、報告とお詫びをされたこちらの記事に、10万近いスキがついていることが、ファンの心境をよくあらわしているように思います。
また、ななもり。さん抜きの5人でのライブを実施することを発表したのは、このお詫び記事から4日後のこと。
騒動の後に5人で実施されたYouTubeのライブ配信で、5人が不安な気持ちを率直に吐露しているのが印象的です。
すでにドームツアーのチケットも販売している最中の炎上だったようですから、もし炎上に対する対応を間違えていたら、ここまで短期間に大きなライブツアーを成功させる状態まで持ってくることは難しかったかもしれません。
もちろん、全てが順風満帆だったわけではなく、ライブにおいて不祥事を起こした、ななもり。さんのメンバーカラーである紫色のペンライトを使うべきかどうかで議論が起こったり、東京のライブでの殺害予告が書き込まれ警備が強化されたりと、様々なトラブルも乗り越えての開催だったようです。
参考:すとぷり、「一部サイトの書き込み」受けライブ警備体制強化 掲示板の殺害予告が波紋
最終的には大きなトラブルもなく、一連のツアーを成功させることができたわけで、関係者の間で、大きな安堵や達成感があるのは想像に難くありません。
ファンのSNS投稿をメンバー自らエゴサ
なぜ、すとぷりは炎上を乗り越えて、ここまで多くのファンに愛されるのか。
その秘訣の1つはYouTubeを中心に活動を開始したネットアーティストならではの、ファンとの距離の近さにあるようです。
特に象徴的なのが、SNS活用の姿勢です。
今回の武道館ライブにおいても、有料配信チケット購入者には画面のスクリーンショットをOKと明確にうたい、積極的なツイッターやインスタグラムへの投稿を促しています。
さらに「限定チラ見せ配信」と銘打って、武道館ライブの冒頭30分ほどをYouTubeにも無料で公開してしまっており、これまた画面キャプチャはOKになっているのです。
そして、最も重要なのが、アーティストであるメンバーが、明確にファンのこうしたSNS投稿を「エゴサ」して見てまわると宣言している点。
事務所や公式サイトでSNS投稿を促すケースは日本でも増えていますが、アーティスト本人が、ここまでSNS投稿を明確に見て回ることを公言するケースはまだまだ少ない気がします。
ファンからすると、単純にSNSの投稿をアーティストの宣伝のために依頼されて投稿しているわけではありません。
自分達の推しのアーティストに自分達の投稿を見てもらえるかもしれない前提で、アーティストにメールを送るような双方向のコミュニケーションの感覚を持ってSNS投稿をできるわけです。
YOASOBIやBE:FIRSTなど、一部の日本のアーティストも、ライブのスクリーンキャプチャを条件付きでOKしたり、応援を目的にしたアーティスト画像の利用を許可するケースは増えてきてはいます。
その中でも、すとぷりはファンによるSNS投稿をエネルギーに、ここまで人気を高めてきた、文字通りデジタルネイティブなアーティストと言えるかもしれません。
SNS投稿を歓迎するガイドライン
その姿勢がわかりやすく出ているのが、すとぷりの公式サイトにある「みなさんへのお願い」というページです。
このページは、いわゆるファン向けのSNS活用ガイドラインになっており、肖像権や著作権に関する解説と、実際にファンが実施して良い行為と駄目な行為が分かりやすく説明されています。
象徴的なのがこの部分でしょう。
メンバーの画像や動画のスクリーンショットをSNSやYouTubeに投稿してもいいの?という質問に対して、「本当は禁止されているのですが、『すとぷり』を好きでいてくれることがわかるような使い方であれば構いません」と明確に書かれているのです。
このページでは他にも、楽曲を使って歌ってみた、踊ってみたという動画の投稿や、画像やイラストを加工したグッズの製作も明確にOKと記載されており、ファンが安心してすとぷりの「推し活」を楽しむことができるようになっているのが非常に印象的です。
こうしたファンの応援を明確にサポートし、アーティスト自らがそのファンの投稿を日々エゴサして目を通すというサイクルが、すとぷりを現在の地位に押し上げているのかもしれません。
なにしろ、すとぷりの関連YouTubeの合計再生数は、50億を超えていると言うからすさまじい人気なわけです。
炎上騒動を乗り越えた良い事例に
前述したように、リーダーである、ななもり。さんのスキャンダルの影響は、まだファンにも様々な影響を残しているようですし、彼が今後復帰するのか、このまま代表としてサポート役にまわるのかも分かりません。
(追記:読者の方の指摘によると、まだ告発元と揉めている点もあるようですので、再燃するリスクもあるようです。)
ただ、少なくとも現在のすとぷりは、リーダーであり社長である存在の炎上騒動をファンとともに乗り越え、次のステージに明確に歩きはじめていることは間違いないでしょう。
最近は、炎上騒動一発で、長期の活動休止や契約解除になってしまうケースも増えています。
その一方で、今回のすとぷりのケースは、ファンとしっかりと関係を構築できていれば、炎上騒動から2ヶ月足らずという短期間に、これだけの快挙を達成できることを教えてくれてもいます。
今回の新曲「シルベボシ」にも「大切な分かれ道に立っている」という歌詞があるのが印象的です。
もしかしたら、今回の炎上騒動での学びが、すとぷりとファンの絆をより強くするきっかけとなり、すとぷりのこれからにとって必要な出来事であったと、将来振り返ることができるかもしれません。
すとぷりの、今回の快挙は、炎上騒動は全ての終わりではなく、炎上後の行動こそが重要であることを教えてくれているように思います。