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マラソンのとき、ぺーサーって利用した方がいいの?

たくや/ランナー医師、ランナー、ランニングコーチ

読んで頂いてありがとうございます!
たくや/ランナーです。都内で医師&ランニングコーチをしています。

今回はマラソンにおける、ぺーサーの効果についてまとめます。

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はじめに

最近の多くの大規模マラソンでは、ぺーサーが設けられています。目標とするタイムのぺーサーがいれば、もちろんついて行きたくなるでしょう。

ですが実際にペーサーが、スタート直後から周囲にいるわけではありません。はるか前方にいたり、逆に後方にいたり・・・ そんなとき強引に前方のぺーサーを追いかけたり、逆にぺーサーを待ってまで拘る必要はあるのでしょうか。

出典:山地啓司ら.1人走と2人走が 1500mタイムトライアルのパフォーマンスとペースに与える影響.スポーツパフォーマンス研究.2019
出典:山地啓司ら.1人走と2人走が 1500mタイムトライアルのパフォーマンスとペースに与える影響.スポーツパフォーマンス研究.2019

文献より

さすがにハーフやフルマラソンのぺーサーの効果の研究はありませんが、1500mや3000mの文献はあります。上のグラフは立正大学と筑波大学からの文献で、1500mの単独走と2人走のタイムの比較です。

6人の大学生・大学院生の市民ランナーが、単独走と2人走の1500mのタイムトライアルを1人走と2人走で計7回ずつしたところ、2人走の方が単独走より 5.9 秒(2.1%)有意に速かったという事でした。これは心理的な面でのプラスが大きかったということです。

ここでは特に中盤でのペースに差が出ていることが分かります。要はゴールという目標が見えていない中盤に、心の支えになるのがぺーサーなんです

自分もぺーサーを務めた経験がありますが、序盤はペースが把握できておらず不安定のことがあります。あまり頼りにならないので、中盤以降にぺーサーに近付いていくのがいいと思います。また最終盤はぺーサーに拘らずに、残った力を振り絞って下さい。

ちなみに2人走でなくて集団走で調べたブラジルの文献では、3000mのタイムが30秒速くなるとの結果でした(集団11.75±0.05分対単独12.25±0.06分)。

出典:山地啓司ら.1人走と2人走が 1500mタイムトライアルのパフォーマンスとペースに与える影響.スポーツパフォーマンス研究.2019
出典:山地啓司ら.1人走と2人走が 1500mタイムトライアルのパフォーマンスとペースに与える影響.スポーツパフォーマンス研究.2019

さらに

ですが、万人に効果がある訳ではありません。効果の高い人もいれば、逆に1人走の方が速いひともいます。

ぺーサーにリードしてもらっても、
「走りにくい!」
と感じたら、集団の中で位置を変えてみて下さい。それでもダメであれば、ぺーサーに拘わらずに単独走にしてもよいと思います。

まとめ

特に中盤から終盤の「辛いけどまだまだゴールは先!」という状況で、多くのランナーはぺーサーの恩恵を受けられます。
ですが混雑した序盤では、無理にぺーサーにつくことは考えなくていいと思います。余裕のある序盤は、ぺーサーから力を貰わなくても走れると思いますし、ぺーサーも序盤はペースが定まってないこともあります。
また終盤は、ぺーサーを無視して残った力を出し切って下さい!

以上、最後まで読んで頂いてありがとうございました。

もっと詳しく書いているので、興味があれば自分のNOTEも参照下さい:
(ビアランニングドクターのNOTE:(前編)ぺーサーについていった方がいいよ~集団走の効果~

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<参考文献>
・単独走と2人走の1500mのタイムトライアルの変化
山地啓司ら.1人走と2人走が 1500mタイムトライアルのパフォーマンスとペースに与える影響.スポーツパフォーマンス研究.2019(Sports-performance:PDF
・市民ランナーにおける3000m走の集団走の効果
Fabiano Tomazini et al.Head-to-head running race simulation alters pacing strategy, performance, and mood state.Physiology & Behavior.2015(Sciencedirect

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たくや/ランナーについて
中学・高校・大学と陸上競技部で、そして卒業後もランニングを続けています。フルマラソンのベストは2時間50分。
今は都内の病院で勤務をしつつ、ランステでコーチをしています。
発信はおもにNOTEでしています(ビアランニングドクターのNOTE

医師、ランナー、ランニングコーチ

41歳まで某大学病院の消化器肝臓内科で勤務、現在は都内の一般病院で内科医をしています。また、中学でランニングを始めて走歴は約40年、その経験を活かしてランニングステーションでコーチもしています。総合内科専門医・消化器病専門医・肝臓専門医・抗加齢医学会専門医、JMJA公認ランニングドクター他、資格は多数。フルマラソンの完走は67回でベストタイムは2時間50分31秒(2019湘南)。ランナーからよく聞かれることやランナーに伝えたい事を、科学的なエビデンスと経験をもとに記事を書いています。

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