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トナカイ135頭をひいた鉄道会社、損失額を請求される ノルウェー

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
ノルウェーでは、トナカイは「サンタのソリをひく」というよりは食肉として人気がある(ペイレスイメージズ/アフロ)

ノルウェーでは、たった1週間ほどでトナカイと列車との衝突事故が9回発生し、135頭が死んだ。

このノールラン路線では野生動物との衝突が以前から相次いでいた。今年だけでトナカイは318頭がひかれている。

手続き通り、牧草地を移動中のトナカイの飼い主らからは、鉄道会社に事前に連絡がいっていた。しかし、スピードを落とすようにとの連絡は、技術的なミスで運転士に届いていなかった。

鉄道会社側は、責任を認め謝罪。

緊急で来年から25キロの柵を作ると発表した。また、トナカイの牧草地の移動のこの時期には、32キロに渡り、スピードを落として走る緊急対策をとる。

VG紙によると、まだ他のトナカイが路線がある地域に分散中。トナカイを集めるために、飼い主らはヘリコプターの使用を余儀なくされている。

その額は150万ノルウェークローネにも及ぶとのこと。飼い主らはこのままでは「破産する」として、鉄道会社に負担額を請求する構え。

鉄道会社とトナカイの飼い主らの話し合いは、近日中におこなわれる予定。

ヒェーティル・ソールヴィーク=オルセン運輸・通信大臣(進歩党)も、対策に乗り気だ(国営放送局NRK)。「動物がひかれるということは良くないが、リスクは常にある。そのリスクをできる限り減らしたい」と話す。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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