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トナカイ106頭が電車と接触事故 数キロが血の海に、ノルウェー

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
「怒りで気絶しそう」と対応が遅れた鉄道会社を飼い主は非難(写真:Shutterstock/アフロ)

ノルウェーでは野生動物と電車の接触事故が毎年問題となっている。

ヘルゲランド地域では先週の3日間だけで106頭のトナカイが衝突し、死亡したと26日に報道された。

トナカイの移動が始まっていることは、トナカイの飼い主らにより鉄道会社に事前に報告がされていた。しかし、トナカイのためにゆっくりと走るようにという連絡は、技術的なミスにより運転士に届いていなかった。

トナカイはさらに数キロメートルに渡り電車にひきずられ、周囲は血の海に。身体がねじまがったトナカイの死体が周辺に飛び散った。

トナカイの飼い主だったオーラ・ヘンリック・カップフィエル氏は「無意味な悲劇だ。怒りで気絶しそう」と批判。鉄道会社は謝罪している。

まだ息が残っているトナカイもいたが、あまりにも大きな傷を負っていたため、すぐに楽になれるようにと銃で射殺された。

カップフィエル氏は「私たちは世界で最も裕福な国に暮らしているんだ。トナカイを救うために柵をたてるなど、なにかできるはずだ」と鉄道会社や自治体を非難。

トナカイの飼育をドキュメンタリーとして記録に残すウトゥシ氏は、現場に居合わせ、ひかれたトナカイたちの姿を映像に残した。

「まるで悪魔のようだった。最悪なのは死ねずに横たわり、苦しんでいたトナカイたちだ。数キロメートルも血の海が続いていた。二度と忘れることができない」。

ノルウェー国営放送局によると、このノールラン鉄道路線では2013~2016年の間に、2000頭以上の動物が電車にひかれている(トナカイ1136頭、ヘラジカ675頭、ヒツジ160頭、ノロジカ42頭、ワシ15羽)。

SNSなどでは、トナカイの飼い主と鉄道会社のどちらに責任があるかで意見が分かれている。

ノルウェー国営放送局と現場の写真はこちら。血であふれた写真が続くので閲覧注意。

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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