早朝の駅員無人化を進めるJR東日本 問題点はないのか?
最近、JR東日本の東京圏の駅では、朝6時30分ころまでの早朝に駅員がいない、いたとしてもインターホンで呼び出さなくてはならない駅が増えている。そういった駅では、乗車駅証明書の発行機が備えられ、インターホンでの対応を告知するポスターが貼られている。
5月3日の『しんぶん赤旗』によると、山添拓参議院議員の調べで、JR東日本の1都3県111駅で早朝に駅員が不在になっているということがわかったという。国土交通省鉄道局に問い合わせ、回答があったのだとのことだ。
どんな駅が早朝無人化されているか
一般に、早朝に無人化される駅は、利用者が少ない駅だと考える人は多い。しかし、意外な駅が早朝に無人化されているのだ。54,134人の乗車人員をほこる中央線の国立駅や、39,187人もの乗車人員がいる横浜線の鴨居駅など、『しんぶん赤旗』によれば78駅が乗車人員1万人を超えるという。
首都圏外縁部では、大きな拠点駅以外は、早朝の無人化はされているといってよい。
『しんぶん赤旗』の記事には記されていないが、早朝に改札が無人になる駅は、東京23区内にもある。2018年11月5日の『東洋経済オンライン』記事によれば、23区内の駅でも早朝無人化が広がり、また駅業務の子会社委託化が進んでいるという。南千住や尾久といった駅もあれば、信濃町や千駄ヶ谷といった山手線内の駅で、早朝の無人化が行われているというケースもある。
要するに、鉄道運行上の拠点性の低い駅であれば、早朝に駅員を置かなくても問題はないと、JR東日本は判断しているということだ。
何が問題か?
『東洋経済オンライン』の記事によれば、社員の4分の1が退職適齢期になり、それらの人員減を新卒採用でまかなえないという状況が、背景にあるのだという。
いっぽう『しんぶん赤旗』の記事によれば、障害を持つ利用者に影響があると指摘している。「車いす利用者などが駅員の介助を必要とする場合、前日までに連絡するよう求められています」と現状を指摘し、「インターホンによる問い合わせ対応は、聴覚障害者は利用できません。視覚障害者にとっても、インターホンの場所を把握することは簡単ではありません」と対応の不備を問題視している。
つまり、障害のある人がいきなり駅に行っても対応できる状況にない、というバリアフリーに反したことが、現状行われるようになっているということだ。
また、改札でのSuicaのミスタッチのトラブルや、改札機の紙詰まり、ホームからの転落など、駅員がいないと対応できないものへの対応も問題になる。
鉄道ファンにわかりやすいところでは、乗車駅証明書を機械で発行してもらい、人のいる駅に行って初めて「青春18きっぷ」の日付を入れてもらわなくてはならない、といった事態もありうるのだ。
JR西日本の考え方
JR西日本も、高年齢層の大量定年退職を控え、サービスのあり方などを考え直している。2月19日に行われた社長記者会見では、駅係員の業務を「出改札を中心とした分業体制」から「サービスの向上に向けてお客様と向き合う『フロント業務』に注力する体制」へと変化させると発表した。そのために案内や販売のセルフ化、業務の集約化を行う一方で、障害がある乗客へのサポートや、訪日外国人への応対を中心に駅係員の仕事を変化させるという。
その一環として同社岡山支社では、「みどりの窓口」の営業を終了させる一方で、山陽本線の和気駅・瀬戸駅・笠岡駅の係員が、周辺駅を巡回し、サポートする体制を構築するという。
JR東日本の早朝無人化は、合理化・省人化の流れの中ではしかたがないといえるかもしれないが、人間を絶対に必要とするサービス――基本的人権とも関わるようなもの――をも省略するというのは問題があると考えられる。何らかの形で、上手なフォローをしていく体制をつくることが求められている。その意味では、JR西日本の考え方も参考にすべきではないか。