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GPI(滑空段階迎撃用誘導弾)の日本担当企業は三菱重工に決定、日米の開発分担部位の図も発表

JSF軍事/生き物ライター
日本防衛省より日米共同開発の極超音速兵器迎撃ミサイルGPIの開発担当分担

 11月1日、イージス・システムで運用する極超音速兵器迎撃ミサイルとして日米共同開発を行うGPI(滑空段階迎撃用誘導弾)の日本担当企業は三菱重工に決まりました。出典:GPI共同開発に係る契約の相手方の決定について:防衛省

 9月26日にアメリカ側のGPI開発担当企業がノースロップ・グラマンに決定しているので、これで日米のGPI計画の主担当企業が決定したことになります。関連:GPIの主開発企業がノースロップ・グラマンに決定

 そして11月1日の日本防衛省の発表で日米のGPIの開発分担部位の説明図が紹介されており、GPIの基本的な構成要素が簡易なものですが判明しています。

日米のGPI開発分担 ※誘導弾の形態は現時点の推定

日本防衛省より日米共同開発の極超音速兵器迎撃ミサイルGPIの開発担当分担
日本防衛省より日米共同開発の極超音速兵器迎撃ミサイルGPIの開発担当分担

第1段ブースター:米国の既存の装備を採用

  • 米国製Mk72ブースター

第2段ロケットモーター:日本が全て担当

  • 操舵装置:日本 ※空力操舵翼

第3段ロケットモーター:米国が主要部分を担当

  • 第3段制御装置:日本 ※TVC?(Thrust Vector Control:推力偏向制御)

キルビークル(迎撃弾頭):米国が主要部分を担当

  • 外殻:米国
  • 誘導制御装置:米国 ※ソフトウェア含む
  • シーカー:米国 ※赤外線イメージカメラ
  • 操舵装置:日本 ※空力操舵翼
  • ロケットモーター:日本 ※サイドスラスター? ※TVC?
  • シーカーウィンドウ:日本 ※耐熱サファイヤガラス製の窓

※一部不明な点には「?」マーク

 この11月1日発表の日米のGPI開発分担の説明図では第3段ロケットモーターとキルビークルは一体型ではないということになります。しかしノースロップ・グラマンのGPIのイメージ動画(出典)では、キルビークルが最後部からロケット噴射しているように見えます。また側面からサイドスラスターの噴射も見えます。

GPI(キルビークル)

映像:ノースロップ・グラマン、文章:日本防衛省
映像:ノースロップ・グラマン、文章:日本防衛省

※HGV(極超音速滑空体)が敵目標

 日本担当部分のキルビークルのロケットモーターとは何を意味するのでしょうか。サイドスラスター? TVC? あるいはその両方? もしTVC付きロケットモーターだとしてもこれは第3段ロケットモーター扱いではないらしいと判明しましたが、11月1日発表の図ではまだはっきり判明していない部分があります。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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