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災害が起きると悪徳業者がくるのは本当だった!「ひょう被害」で既に多くの高齢者世帯が騙されている

栗栖成之防災士×探偵ライター
photo AC

4月18日に「ひょう被害」のレポートを公開しましたが、地域では多くの車が同じような被害を受け、カーポートの屋根が破壊された住宅がとても多い状況です。

そんななかで、悪徳業者の営業が活発化しており、二次被害や三次被害に逢う家庭が増えています。

今回は、注意喚起と悪徳業者の存在を知ってもらいたく、状況をお伝えします。

火災保険には見積もりが必要、無料で見ますよ!壊れてない屋根を壊す

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自身が加入している火災保険を利用するにあたり、修理業者に見積もり依頼したところ、とんでもない話しが飛び込んできました。なんと、「ひょう」が降った翌日17日から、早々に悪徳業者が活動を開始していたのです。

筆者自身も地域で調査を行いましたが、既に多くの高齢者の方が悪徳業者に騙されて本当に困っている状況でした。

屋根に上がりハンマーで瓦と屋根板を破壊

カーポートの屋根が壊れるほどの破壊力があるので、屋根も点検しておく必要がありますよ。といってハシゴで屋根に登り、「やはり破壊されていましたね」とデジカメで写真を見せるのですが・・

どう考えても「ひょう」で1個所のみ瓦が割れ、その下の屋根材も割れるのはあり得ないと、素人でも判断できるような写真を撮影!

保険会社に提出すると、「ひょうによる被害に該当しない」との審査結果となり保険の適用外になっています。

結局、修理しないと雨漏りしてしまうため、業者のいうとおり自腹での修理を強要されています。

勝手に侵入しエアコンの室外機を壊す⇒点検費用を要求する

エアコンの室外機は敷地内にあり、許可なく立ち入って触ることは誰もできません。しかし、勝手に敷地に入り込みエアコンの室外機を破損させ、あたかも偶然見つけたかのようにインターホンを鳴らします。

「○○設備の者ですが、パトロール中にお宅のエアコンの室外機の破損を発見しました」といい切り、ひょう被害で他の家も同様の被害がでていると伝えます。

「エアコンの室外機は火災保険で修理可能なため、念のため他の場所に被害がないか点検しましょう」と、不安をあおって作業を強要。

そして、実際に被害があれば自社で修理するなら点検料は無料。被害が見当たらないと、点検費用3~5万円要求する手口です。

このケースでも、当然ながら修理するのはわざと室外機を破損させた業者です。

雨漏りした際のためのブルーシートの押し売り

一昔前の「物干しざおの移動販売」のごとく、ひょう被害による雨漏り対策として、ブルーシートの移動販売も悪徳業者の手口のひとつになっているようです。

ブルーシート自体は高額販売ではなく、ホームセンターよりも1~2割高い程度です。しかし、ブルーシートがあっても屋根を覆わないと話になりません。

そのため、ブルーシート販売と屋根に被せる作業がセットになっており、作業金額は10万円以上請求されます。

しかも、ほぼ素人のとび職が行うため、屋根に上り踏ん張る足で瓦をずらしたり、落としてしまう二次被害が発生しています。

二次被害・三次被害は高齢者世帯の家庭に集中している

先に紹介しただけでなく、しつこい電話勧誘も多く我が家では固定電話が鳴っても放置して出ないことにしました。女性のアナウンスですが、とにかくしつこい!

  1. 火災保険はどの保険会社に加入しているのか
  2. 保証内容を教えて欲しい
  3. 分からないようなら伺ってアドバイスします!

このような流れで、自宅に来訪するための既成事実を作ってきます。もしも、家に上げてしまうと見積もりだの修理だのと、面倒なことになるのでしょう。

実際に二次被害・三次被害に遭っている住宅は、多くが高齢者のみのご夫婦世帯です。まだ、固定電話を使う方が多いのと、雨漏りして困っている家庭も実際にあるため「早く修理したい」との弱みに付け込むようです。

被害から10日経過しても、市役所の担当課には電話は繋がらない

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4月16日から2~3日は罹災証明の担当窓口は込み合っているだろうと思い、期間を空けて24日から担当窓口に電話をかけていますが、話し中で繋がりません。

25日の朝一番に電話しても話し中で、当日は50回以上チャレンジしましたが繋がることはありませんでした。26日も同様で、被害から10日経過しても問い合わせが殺到していることが分かります。

フェニックス共済への問い合わせは「お問い合わせフォーム」利用がおすすめ

兵庫県 フェニックス共済(兵庫県住宅再建共済基金)
兵庫県 フェニックス共済(兵庫県住宅再建共済基金)

兵庫県に住んでいる方限定となる「フェニックス共済」は、阪神淡路大震災の教訓から生まれた保険制度で我が家も加入しています。

年間5,000円の掛け金で災害時の住宅再建・補修に最大600万円の給付が受けられる、とてもお得で便利な保険なため多くの方が加入しているはずです。

そのため、フェニックス共済への問い合わせも殺到しているようで、市役所同様に繋がりません。

筆者は電話を諦めて「お問い合わせフォーム」にて状況を伝えました。すると、時間をおかず事務局の方からスマホに連絡を頂けました。フェニックス共済へ電話が繋がらないと困っている方は、「お問い合わせフォーム」の利用がおすすめです。

「ひょう被害」でこれだけの悪徳業者が!震災時には悪徳業者の被害が多発するのがよく分かる

イラストAC
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今回人生ではじめての「ひょう被害」に逢いましたが、10日以上経過した現在でも罹災証明は取れず、業者の見積もりも取れない状況です。それに加えて、高齢者世帯を狙った悪徳業者の存在が、被害に追い打ちをかけています。

「ひょう」による被害でこのような悪徳業者が横行するのですから、能登半島地震など大きな災害時には、比較にならないほどの悪徳業者が現れるのがよく分かりました。

我が家は取り敢えず業者の見積もり順番待ち状態で、怪しい業者の営業は全てインターホン越しに断っています。どうか、ひょう被害に遭われたみなさまも、悪徳業者へはくれぐれも注意して騙されないようにしましょう!

防災士×探偵ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!フリーでの執筆活動をメインにしつつ、探偵として地域の困りごとも解決している。

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