鉄道博物館・新館が7月5日オープン! 見どころはシミュレータと実物大モックアップ
さいたま市にある鉄道博物館の新館が7月5日(木)にオープンする。新館では鉄道の仕事に関する展示や、歴史に関する展示が充実しているだけではなく、シミュレータなどの体験施設も盛りだくさんである。
その一般向け内覧会が、7月1日(日)に開かれた。親子連れなどの多くの人たちが集まり、嬉しそうに展示を見る姿から、人気スポットとして知られている鉄道博物館に、さらに人が集まると予想する。
来場者を出迎えるE5系
入場すると目に入るのは、実物大のE5系モックアップである。「グランクラス」の車両と同等のものを新たにつくり展示している。その横には、2010年まで実際に使われていた山形新幹線用の400系グリーン車が展示。どちらも中に入ることができ、新幹線の上質な車両の味わいを感じられる。
1階と2階は「仕事ステーション」として鉄道の仕事を体験したり、展示物から学べたりするようになっている。「みどりの窓口」の発券端末(ただし、実際よりかなり簡略化されている)や改札で駅の仕事を体験でき、備えてある仮眠用のベッドには自動起床装置もセッティングされているという念の入れようだ。
改札を通過すると目に入るのは京浜東北線で使用されていた209系。これは車掌シミュレータである。車掌はどのような動きをするのかを実体験できる。
列車を運行する仕事や車両をつくる仕事などの鉄道の仕事を紹介する展示も充実。またメンテナンス関連では、実際にすり減った架線が展示され、なかなか見えない鉄道の姿がわかるようになっている。
運転シミュレータでは東北・北海道新幹線に使用されるE5系、首都圏各線で使用されるE233系、少し前まで首都圏で活躍していた211系、かつて山手線でおなじみだった205系の運転を体験できる。
また運転士体験教室もあり、教室のように運転台が並んだ部屋では、電車の運転について教わることが可能だ。
2階では他にも「未来ステーション」として未来で使われるであろう鉄道の技術を展示。鉄道博物館を見学する子どもたちのために、鉄道への期待を高めるようになっている。
充実の歴史展示
3階では「歴史ステーション」として近現代の鉄道の歴史を紹介。鉄道草創期の展示だけではなく、戦後の鉄道が発展していく時代の展示がとくに充実し、指定席の発券システムである初代マルスや、新幹線を集中制御するCTCなどの展示には、「鉄道大国日本」の礎を感じさせられる。
昔なつかしいタブレット閉塞の信号システムや、硬券の発券窓口の再現には、近代を支えたシステムである鉄道の、まだまだ人力に頼っていた時代のノスタルジアを思い起こさせる。
展示フロアの中心にあるのは、時計である。時計は、日本の鉄道の特徴である定時運行の象徴である。時計を中心に、日本の鉄道の歴史が紹介され、発展を続けてきたことがよくわかるようになっている。
時計のあるエリアから出ようとすると、「日本国有鉄道」の玄関銘板。1987年3月31日をもって終焉した国鉄は、JRとして分割し、生まれ変わった。
JRになってからの展示は簡潔である。それでもオリエント急行運行や災害と鉄道に関する展示もあり、民営化30年の変化をたどれる。
4階は「ビューレストラン」と「トレインテラス」「ビューレストラン」では軽食を楽しむことができ、食堂車のまかないメニューだった「ハチクマライス」などが食べられる。「トレインテラス」からは眼下に走る列車が見える。
屋外の「てっぱくひろば」では北陸新幹線用のE7系を模した遊具や、E5系を模した小型新幹線に乗って楽しめる。
今回の新館の開館によって、鉄道博物館はより深く、楽しく鉄道を知ることができる施設になる。ぜひ、多くの人に訪れていただきたい。
なお、新館は本館に隣接し、入場は本館と同じ箇所からになる。新館のオープンにともない、入館料は大人1,300円、小中高生600円、幼児300円(現在それぞれ1,000円、500円、200円)となる。
(写真撮影:筆者)