「日産に損害なし」というゴーン氏の主張を特捜部はどう見るか
カルロス・ゴーン氏は、私的な投資損失を日産に付け替えたとされる容疑について、「日産に損害を与えておらず、特別背任罪には当たらない」と主張している。特捜部の視点に立った場合、この主張をどう見るだろうか。
特別背任罪が成立するには
確かに、会社の経営者に特別背任罪が成立するには、次の3つの要件を充たす必要がある。
(1) (a)自己又は第三者の利益を図る目的か、(b)会社に損害を加える目的があったこと(片方だけで可)
(2) 任務に背く行為をしたこと
(3) 会社に財産上の損害を加えたこと
会社経営の中で(3)ありとするためには、1回ごとの取引の損得ではなく、ある程度のスパンにおいて、差し引き総額でマイナスが生じている必要がある。「損して得取れ」という商格言もあるほどだ。ゴーン氏としても、結果的には4か月間という一時的な付け替えで終わったし、日産の持ち出しもなかったと言いたいところだろう。
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