今、なぜ若者は営業に「熱狂」するのか? その実態に迫る!
■毎年秋になると盛り上がる「#営業祭り」
今、営業が熱い。
高度成長期、お客様の多様なニーズに素早く応えるために登場した営業職。企業を支える重要な役割として認知され、文系の学生7割が就くとまで言われる人気職種となった。
しかし「営業=キツイ、大変」というイメージも定着し、昨今のかんぽ生命の「不適切営業」、携帯ショップの「不適切販売」などのスキャンダルもあって近年は逆風が吹いている。
そんな中、日本の「営業のステータスを向上したい」という取組みがひそかに注目を集めている。
その中心にいるのが、日本一の営業を決める大会「S1グランプリ」の代表、古瀬貴大さんだ。
毎年秋に開催される「S1グランプリ」も今回で6回目。11月19日(土)、東京六本木の会場に6人のファイナリストを集め、今年も熱い決勝戦が行われる。
この大会を一目見ようと申し込んだ全国の経営者、営業パーソンたちは実に2000名を超えているそうで、その規模は拡大の一途である。
なぜ「キツイ、大変」というイメージが染みついた営業に若者たちは熱狂するのか?
■特徴① 高いマーケティング思考
私は2つの特徴があると、考えている。
それが「マーケティング思考」と「共創意識」だ。
私が常日ごろから接している営業部長、営業課長は、まさに「ザ・昭和の営業」を今も体現している。
どちらかというと、マーケティング思考は薄い。
会社のブランド力でお客様から「引き合い」があり、その引き合いに対応する営業スタイルがメインだ。
だから提案力やクロージング力に重きを置く。話力や人間力も重視する。
いっぽう若い営業パーソンは「引き合い」を待つのではなく、自分からお客様を探すところから始める。
なぜそんなことができるのか?
SNSを使った情報発信を、常日ごろから行っているからである。
会社のブランドも利用するが、主に自分自身のブランド認知を高めることに主眼を置いて日々発信している。
先述した古瀬さんの呼びかけにより11月17日からスタートした企画「#営業祭り」は、ツイッターで多くの営業インフルエンサーを動かす。
ハッシュタグ「#営業祭り」をつけてツイートするだけでよく、誰でも参加できることがウリだ。
自分のブランド認知を高めたい営業は、会社や業界の垣根も超えて参加し、一大ムーブメントを起こす。
このように、マーケティング思考の高い若い営業パーソンたちは、会社に依存することなく、自らの発信力で見込み客の発掘まで行っている。
■特徴② 強い共創意識
もう一つの特徴は「共創意識」だ。
昔は「競争意識」が重要だった。ライバルに負けたくないと思う営業ほど成績がよく、たとえ同じ組織にいても手の内を見せない営業も多かった。
それが今はどうだ。
組織内どころか、自分が編み出したテクニックや、日ごろから営業活動において心掛けていることを広く多くの人に知ってもらおうと日々発信しているのである。
営業のデジタルシフトが進んだおかげで、情報を共有する文化・習慣が定着したからだろう。
これはデジタルネイティブの若い世代には顕著に見られる傾向だ。
■営業が元気でなければ生き残れない
コロナ禍になり、多くの営業がお客様への直接的な接触を制限させられるようになった。
だから「引き合い対応」を待つ従来の営業スタイルは、大きな打撃を受けている。
いっぽう、マーケティング思考の高い若い営業たちは、自分たちで見込み客を発掘し、育て、関係維持を試みている。
だから「昭和の時代」で必要だった、お願い営業などはまったく必要がない。
日ごろの情報発信で、すでにお客様との関係ができ、説得やクロージングなどしなくても仕事の依頼が来るからだ。
私は現在53歳。「ザ・昭和」のど真ん中にいた世代だ。
「昔はよかった」と顧みることも多いが、それでは時代に取り残される。苦しいがアンラーニング(学習棄却)して、新しい潮流を受け入れていきたい。
そのために、私も日本の「営業のステータス」を上げるための取組みを応援する。営業が元気でなければ、企業は強くならないからだ。
※ご紹介したツイートはすべてご本人の承諾を得て引用しています。