月面に中国のロケットが衝突!?2022年に起きた衝突事故を解説
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JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」が日本初の月面着陸に成功したことで、世間は歓喜ムードに包まれましたね。実は過去にはロケットが月面に墜落する事故が発生しています。本記事では、その経緯についてご説明していきます。
JAXAの月着陸機「SLIM」を詳しく知りたい方はこちらの記事で
■何らかの人工物が月面に墜落しクレーターを形成!?
2022年3月、宇宙を漂う何らかの人工物が月の裏側に衝突したというニュースがありました。それは、月面に幅約30メートルのクレーターを形成する程の衝撃を与えました。
その人工物は当初、アメリカの深宇宙気候観測衛星の打ち上げに使われたファルコン9ロケットと推定されていました。そして、NASAも引き続きロケットの軌道観測を続けていたところ、ある矛盾点が生じたのです。NASAの研究者より「気象観測衛星の軌道は月にそれほど近くないのに対し、ファルコン9ロケットの残骸が月に衝突するのはおかしい」との指摘があり、データの再検証が行われることとなります。
■2014年に打ち上げられた中国のロケットが月面に衝突?
NASAによりこの物体の2016~17年にかけての軌道を分析した結果、衝突が予想される物体はファルコン9の残骸ではないことが判明しました。月近傍の宇宙ゴミを突き止めることは「決して簡単ではない」とのことですが、高い確率で中国が2014年の月探査機打ち上げに使ったロケット「長征3C」の見方が強いとのことです。
中国は問題のロケットが打ち上げられた後、残骸は全て地球の大気圏に再突入して燃え尽きたと発表していました。しかしアメリカの調査によると、ロケットは大気圏には再突入しておらず、宇宙を浮遊し続けていたと推定されています。
これから加速されていく月面開発の前に、月が宇宙ゴミでいっぱいになってしまうかもしれません。今後、このような衝突事故が起きないことを祈っています。
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