「塩の結晶」を小惑星の砂に発見、はやぶさ2が探査したリュウグウは元々海洋天体の一部だった?
2020年、小惑星探査機「はやぶさ2」はリュウグウからサンプルを地球に持ち帰ることに成功しました。そして2024年11月10日、京都大学はサンプルの中に「塩の結晶」が含まれていることを発見します。本記事では、今回の大発見に加え、海洋天体との関連性についても解説します。
■生命誕生の起源の可能性のあるアミノ酸が発見?
はやぶさ2は、小惑星リュウグウからサンプルリターンを行うことで、惑星の起源だけでなく地球の海の水の起源や生命の原材料をも探求する目的のため、2014年に打ち上げられました。そして2020年12月、5.4グラムのサンプルを搭載したカプセルは地球に帰還し、見事サンプルリターンに成功しています。
その後、サンプルは世界各国の研究機関に配られ、本格的に分析がされていました。そして2024年11月10日、京都大学の研究グループは、リュウグウの砂に塩の結晶が含まれていることを発見したのです。
かつてリュウグウは、約45億年前の太陽系初期に形成された数10kmサイズの母天体の一部であり、他天体との衝突などの理由により現在の900メートルの大きさとなったと考えられています。今回の発見により、母天体には液体の塩水が存在し、リュウグウに流れ込んでいたと推定されています。
■エウロパやエンセラダスでもナトリウム炭酸塩が見つかっている?
実は今回リュウグウで発見されたナトリウム炭酸塩は、地球に飛来する隕石では見つかっていません。一方で、木星の衛星エウロパや、土星の衛星エンセラダスなどでは、地下に海が広がっていると考えられており、表面から噴き出した物質からナトリウム炭酸塩が検出されています。
このことから、リュウグウで見つかった塩の結晶は海洋を擁する天体の理解を促進する手がかりとなることが期待されています。生命は有機物が水中で化学反応をすることで生まれたと考えられており、エウロパの地下でも生命が存在できる環境が広がっていると推測されています。NASAは今年10月に探査機「エウロパ・クリッパー」を打ち上げており、エウロパの生命探査が加速しているのです。
もしかすると、リュウグウの母天体にも生命が広がっていたとすると、今後の研究成果が非常に楽しみですね。
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