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月面着陸に成功したJAXAが描く「将来の月探査計画」を一挙ご紹介!!H3ロケットも大活躍!?

将来の月着陸機イメージ図 ©JAXA

宇宙をもっと身近に、スペースチャンネルです。

1月20日、JAXAの月探査機「SLIM」が、世界で5か国目に月面着陸に成功しました!おめでとうございます!

世界でも月面探査の盛り上がりが始まっており、NASAを中心とした「アルテミス計画」では、2020年代後半に宇宙飛行士を再び月面に到達させることが掲げられています。それでは本日は、JAXAが描く「将来の月開発計画」について見ていきましょう!

SLIMを詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

【速報】日本初の月面着陸に成功!JAXA月着陸機「SLIM」

JAXA月着陸機「SLIM」が月面に届けた2つの超小型ロボットとは!?

■2025年度末:月極域探査ミッション「LUPEX」

月極域探査ミッションLUPEX ©JAXA
月極域探査ミッションLUPEX ©JAXA

まずは、日本とインドとの国際協力ミッションである「LUPEX」です。LUPEXの目的は、月の南極に眠る氷を見つけることです。

実は月の南極には永久に日光が当たらない日陰の部分があり、氷が豊富に存在する可能性が高いのです。もし氷を見つけられれば、すなわち電気分解により酸素と水素を手に入れられます。これはロケットの推進薬にも使用でき、月は補給基地として大きな役割を果たせるのです。そのため、「アルテミス計画」でも南極は将来の月面基地の候補になっており、将来的に月は火星への中継地点としても注目されています。

そしてこのLUPEX、日本とインドとの間で役割が分かれています。まず、地球からの出発は日本の新型ロケット「H3」で打ち上げを行います。その中にはインドが開発する月着陸機が搭載されており、月の南極付近のクレータへの着陸に挑戦します。ちなみにインドは、2023年8月23日に無人着陸機「チャンドラヤーン3号」により、インドとして初の月着陸にも成功しています。

H3ロケット ©JAXA
H3ロケット ©JAXA

そして、着陸機の中からJAXAが開発した月面探査車が出てきて、氷を探索する計画です。LUPEXは氷の存在確率が高い「シャクルトン・クレータ」付近でドリルによる掘削探査を行います。

果たしてH3ロケットの開発はLUPEXの打ち上げまでに間に合うのか、こちらも要注目です。

■2020年代後半~:月周回有人拠点「ゲートウェイ」と新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」

月周回有人拠点「ゲートウェイ」と新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」 ©JAXA
月周回有人拠点「ゲートウェイ」と新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」 ©JAXA

ゲートウェイとは、月の周回軌道上に構築される宇宙ステーションのことです。有人月探査や将来の火星探査の中継地点としての役割も担っており、NASAを中心とした多くの宇宙機関により国際協力体制で開発が進められています。現在の計画では、早くて2024年から建設を開始し、2028年に完成する目標となっています。このモジュールの打ち上げにより、人類は月・火星探査の第一歩を踏み出すことになるのです。

その中でJAXAは、ゲートウェイの国際居住モジュールにおける、環境制御や生命維持装置の開発を担っています。JAXAは過去に国際宇宙ステーション(ISS)の中で最大のモジュールである、宇宙実験棟「きぼう」を開発しました。宇宙環境を利用した様々な実験を行い、多くの世界的な研究成果を挙げています。そのような実績もあり、ゲートウェイでも宇宙飛行士が生きていく上で欠かせない大切な部分を日本が担っているのですね。

更に、日本はゲートウェイへの物資補給ミッションも担当します。過去に日本はISSへ補給物資のため、宇宙ステーション補給機「こうのとり(HTV)」という無人の補給船を開発しました。2009年に初めて打ち上げられ9回の補給ミッションに全て成功、2020年にHTVは任務を終えました。

そしてHTVに続く補給機として、HTV-Xの開発が始まっています。HTV-Xの目的はISSへの物資補給ですが、貨物量の増加や、軌道上での実験に利用できるプラットフォームの提供など、様々な改良が施されています。HTV-Xの1号機は2025年以降にH3ロケットで打ち上げられ、ISSへ向かうことが予定されています。

そしてこのHTV-X、2030年で退役するISSの次の世代である、「ゲートウェイ」への物資補給ミッションにも活用できるよう開発が進められています。HTV-Xによるゲートウェイへの補給ミッションは2020年代後半以降の実施が検討されています。

■2020年代後半~:有人与圧ローバー「ルナクルーザー」

有人与圧ローバー「ルナクルーザー」 ©JAXA
有人与圧ローバー「ルナクルーザー」 ©JAXA

最後に紹介するのはJAXAとTOYOTAが共同で開発している「ルナクルーザー」です。ルナクルーザ―は宇宙飛行士が月面で運転する探査車で、大きさは全長約5m、マイクロバス約2台分です。中には4畳半ほどの居住空間を設け、通常時は2名、緊急時には4名まで滞在ができます。ルナクルーザーは燃料電池をエネルギー源として運転するため、月面に存在する水分を太陽電池で発電した電力で電気分解し、酸素と水素を生成して利用する計画となっています。まさに地産地消ですね。そしてこのルナクルーザー、最近流行りの自動運転機能も持っており、月面で1000kmまで走ることが予定されているそうです。2020年代後半にルナクルーザーが宇宙飛行士を乗せて月面で活躍するのが、今からとても楽しみですね。

以上が将来の日本の月探査計画です。2023年は14年ぶりに宇宙飛行士が2名選抜されたことでも話題になりましたが、日本人が月面を歩く日もすぐ近くもしれませんね。

JAXA国際宇宙探査センター

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