甘利大臣辞任でますます疑惑が深まる日本政治の闇
フーテン老人世直し録(200)
睦月某日
甘利明経済再生担当大臣が辞任した。安倍政権にとって最も打撃の少ない方法が代表質問を終えた時点での辞任だったということだ。直前まで辞任の意思を見せず、事情を説明する会見で声を詰まらせながらの辞意表明が「電撃辞任」のサプライズ効果を生み、それが「説明責任」や「政治責任」追及をやわらげる方法と考えられたのである。
しかし甘利氏の説明はそうした政権の思惑を超え、むしろこの問題の異常さを浮き彫りにしたとフーテンは思う。また同日発売された「週刊文春」と「週刊新潮」の記事で疑惑はさらに深まる。安倍政権が1週間かけて打撃の最小化を図った結果がこれだとすれば、これは相当に深刻な事態が裏に隠されているかもしれない。
「週刊文春」の最初の報道でフーテンが引っ掛かりを感じたのは告発者が何者で何の利益のために告発したかである。話の大筋は、千葉県の建設会社薩摩興業が都市再生機構(UR)の県道建設を巡り甘利大臣事務所に口利きを依頼しURから2億2千万円の補償金を取った。その後さらにURから補償金を取ろうとしたがうまくいかず、甘利大臣と秘書に総額1200万円を超える金を貢がされたというものだ。50時間に及ぶ録音テープや写真などの証拠があるという。
それをネタに甘利大臣を脅し何らかの利益を受けるという話なら分かるが、表沙汰にすれば甘利大臣に打撃を与えると同時に自らも返り血を浴びる可能性がある。不利益を覚悟で告発するにはそれだけの理由がなければならない。「週刊文春」の一報ではそれがよく分からなかった。
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