甘利スキャンダルで思い出す小泉政権の「年金未納」という策略
フーテン老人世直し録(198)
睦月某日
総額3.3兆円の平成27年度補正予算案が2日間の代表質問と衆参それぞれ3日間の委員会審議を経て成立した。1億総活躍社会を実現するためと称して低年金の高齢者に3624億円を支給することや、TPPで打撃を受ける農家への支援策に3403億円が盛り込まれるなど、野党から選挙対策の「バラマキ」と批判される予算案である。
その議論の中身の低調さを書こうとしていたら、甘利経済再生担当大臣の「政治とカネ」のスキャンダルが飛び出した。今年の世界はサウジとイランの断交、北朝鮮の核実験、止まらぬ原油安・株安と「激震」続きだが、「一強多弱」の日本政治も何が起きるか分からない「大乱」の様相を帯びている。
21日の参議院決算委員会では野党各党が甘利大臣を追及したが、大臣は「記憶が曖昧」などと答弁して説明を先送りした。おそらく甘利大臣はスキャンダルを暴露した側と週刊文春がどれほどの材料を握っているか、また暴露の真意が何かをまだ探り切れていないのではないか。フーテンも記事を読んで暴露の真意を図りかねた。
記事には「カネをたかられて憤りを感じたから」と書かれているが、それを素直に信じる気にはなれない。安倍政権の中枢を撃つ暴露を決断するには何かそれ以上の理由があるはずだ。甘利大臣はそれを探るための時間稼ぎをしているようにフーテンには見える。
記事を読む限り甘利大臣は政治資金規正法違反とあっせん利得処罰法違反に当たる可能性が高い。しかし暴露した側が甘利大臣側とのやりとりをすべて録音している事や口利き料の50万円の札の番号が分かるように写真に撮っている事などにフーテンは用意周到すぎるという引っ掛かりを感じる。
「多弱」の野党はスキャンダルに飛びついて追及を強める構えだが、追及するには記事に頼るだけでは駄目である。この時期に何を目的に暴露されたかを独自に探り出す必要がある。そう言いたくなるのは、かつて年金未納問題で民主党が自民党を追及した挙句にそれがブーメランとなって自滅した例を思い出すからだ。
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