世界の国賓が集まった「即位の礼」晩餐会メニューが食べられるのは本当? 今だけの貴重なチャンス
昨年行われた「即位の礼」晩餐会
2019年10月23日、御三家ホテルのひとつであるホテルニューオータニで「即位の礼」晩餐会が行われました。190もの国々の代表が集う晩餐会が開催され、多くの人々の記憶に残る晩餐会になったのではないでしょうか。
国賓が集う「即位の礼」晩餐会は雲の上の出来事なので、そこで提供された料理を体験する機会などないと思うかもしれません。
しかし実は、全く同じではありませんが、「即位の礼」晩餐会に近いコースを楽しむことができるのです。
ホテルニューオータニの東京、幕張、大阪では、2020年4月1日から2021年3月31日にかけて、「即位の礼」晩餐会のメニューをアレンジし、披露宴や祝宴の席で味わえる「令和記念メニュー」が提供されるからです。
令和記念 桜ディナー
ただ、宴席となると、自分自身もしくは周囲でお祝い事がある時にしか味わうことができません。
しかし、2020年4月16日までは、ホテルニューオータニの「ベッラ・ヴィスタ」「KATO'S DINING & BAR」「SATSUKI」で、「令和記念 桜ディナー」と題し、「令和記念メニュー」に春ならではのアレンジを加えた特別コースを体験することができるのです。
3日前までの予約が必要であることからも、非常に手の込んだ料理であると想像できるでしょう。
コンセプトは八面玲瓏
いずれのコースともに、監修しているのはホテルニューオータニのグランシェフである中島眞介氏であり、コンセプトは「八面玲瓏(はちめんれいろう)」。
「八面玲瓏」とは「四方八方どこから見ても透き通っていて、美しく明らかであること。心に曇りやかげりがなく、澄みきっているさま」を指します。人々がわだかまりなく親しみ合う様子を表した言葉でもあり、「人々が心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ時代となるように」という意味が込められた「令和」に通じるものがあるのです。
「記念すべき祝宴でのひとときを、料理やサービスでさえぎることがないように」という中島氏の考えから、一般的に6皿から8皿で構成される祝宴のコースをあえて4皿に集約し、食事が会話などを邪魔しないように配慮しました。
こういった気づかいは、新しい時代の祝宴コースであるといえるかもしれません。
「即位の礼」晩餐会の内容
「即位の礼」晩餐会、「令和記念メニュー」、「令和記念 桜ディナー」は、どのような内容になっているのでしょうか。
まずは「即位の礼」晩餐会から。
「即位の礼」晩餐会
- 和前菜祝い盛り 秋の吹き寄せ 令和の幕開け
- 蟹真薯と極み出汁 黄金のしずく 清まし仕立て
- フカヒレの姿煮と伊勢海老、蝦夷鮑の雅な饗宴 吉野葛の銀餡がけ
- 仔羊と松茸の華麗なるパイ包み焼き 岩手産雑穀米添え 紫蘇香るソース
- お赤飯と煎茶
- 和栗のモンブラン クープ仕立て 八丈島ジャージーミルクジェラートを添えて
国賓が集まるというだけあって、カニ、フカヒレ、イセエビ、エゾアワビ、マツタケといった高級食材が惜しげなく使われています。牛肉や豚肉に対してタブーをもつ人がいることから、肉料理に使われているのは仔羊。お食事には、祝いの場として相応しく、赤飯が提供されています。
令和記念メニューの内容
宴席のコースとして提供される「令和記念メニュー」は次の通りです。
令和記念メニュー
- 珠玉の美味極み前菜 悠久の巌盛り
- プレミアム出汁スープ
- 仔羊と黒トリュフの華麗なるパイ包み焼き Jシリアルリゾット添え 紫蘇香るソースとともに
- 海鮮バラちらし 蜆すまし汁
- SATSUKIスイーツコレクション 和栗のモンブラン仕立て 八丈島ジャージーミルクジェラート添え
「即位の礼」晩餐会の内容と似ていますが、魚料理はなくなり、お食事は赤飯ではなく海鮮バラちらしになっています。ホテルニューオータニのオリジナル雑穀米である「Jシリアル」が用いられていたり、コーヒーショップ「SATSUKI」で人気のモンブランを提供したりと、ホテルニューオータニの個性をより押し出した構成になっているといえるでしょう。
令和記念 桜ディナー
「令和記念 桜ディナー」は次の通り。
令和記念 桜ディナー
- 和洋前菜祝い盛り
- 極み出汁 黄金のしずく 澄まし仕立て
- 尾崎牛のビーフシチュー
- 桜ばらちらし寿司
- 桜あんみつ
「令和記念メニュー」と比べると、大きく変わっているのが肉料理。幻の牛とも称される宮崎県の尾崎牛を用いたメニューとなっているのは注目どころです。桜をテーマにした和テイストのコースであるだけに、デザートがあんみつになっているのはしっくりときます。
では、「令和記念 桜ディナー」について詳しく紹介していきましょう。
和洋前菜祝い盛り
最初に提供される盛り合わせは、アーティスティックな特注の有田焼の器を使っているということもあって、非常にサプライズ感があります。
鯛燻製求肥昆布巻と青菜、銀鱈西京焼、炙りふぐ手毬寿司とキャビア、穴子八幡焼、才巻酒煮、蛸燻製串打ち、鴨フォアグラと奈良漬け、蛤雲丹味噌焼と8種類の前菜が美しく並べられており、縁起のよい8にこだわりました。
この中で、鯛燻製求肥昆布巻と青菜、銀鱈西京焼、手毬寿司、炙りふぐ手毬寿司とキャビアは「即位の礼」晩餐会と同じメニューです。
極み出汁 黄金のしずく 澄まし仕立て
中島氏が日本の旨味の文化を伝えるために試行錯誤した末、あしかけ4年かけて完成させたという、出汁スープ。ハマグリ、昆布、鰹出汁、鮪節でつくられており、クリアでありながらも複雑な味わいを醸しています。中には京都の半兵衛麩。
尾崎牛のビーフシチュー
ブランドである宮崎県の尾崎牛を5時間煮込み、「SATSUKI」の伝統デミグラスソースを合わせた肉料理。「SATSUKI」で提供されているシグネチャーディッシュのひとつである「尾崎牛 下町特撰ビーフシチュー」と同じ味わいを楽しめるのです。
桜ばらちらし寿司
ばらちらし寿司は、特注の有田焼の蓋付きの器で供されます。赤酢飯をサフランで色付けし、華やかな彩りに。サーモンや海老、鮪、イクラなどの海の幸を贅沢にあしらい、桜の花びらの塩漬けをトッピングしているので、様々な味わいを楽しめます。
桜あんみつ
最後はあんみつ。兵庫県丹波の黒豆、八丈島のジャージーミルクのジェラートと素材にこだわっており、桜の寒天で見た目と味わいにアクセントを。
背景
「令和記念 桜ディナー」は魅力的な料理を楽しめますが、どういった経緯で提供されることになったのでしょうか。
「即位の礼」晩餐会が開催され、メニュー内容が色々なメディアで報道されました。それをみた視聴者や読者から是非とも食べてみたいという声があがったことが、きっかけになったといいます。
当初は祝宴の場で提供するために「令和記念メニュー」が考案されましたが、より多くの人に食べてもらいたいということから、宴席での提供に先駆けて、3つものレストランで「令和記念 桜ディナー」を用意することになったのです。
「即位の礼」晩餐会のメニューは、中島氏が「日本を伝える」ことを使命とし、日本全国の食材を吟味して、和・洋・中・スイーツそれぞれの料理長たちと完成させた至極のコース料理。
出席者600人すべてが国賓クラスという世紀の晩餐会に臨むため、全国のグループホテルのホテリエやかつてホテルで働いていたOBに声をかけ、総勢350名のサービススタッフを集めたということです。
写真を撮影するなど、出席者に最も反応がよかったのが、前菜の盛り合わせと出汁スープ。いずれとも日本の美様式や食味を存分に楽しめる料理です。
サプライズ感を体験してもらいたい
「令和記念 桜ディナー」の「桜ばらちらし寿司」に使われた蓋付きの器は、「即位の礼」晩餐会では「フカヒレの姿煮と伊勢海老、蝦夷鮑の雅な饗宴 吉野葛の銀餡がけ」に使われ、目の前でスタッフが蓋を開けるサービスを行いました。
通常このような晩餐会では、国賓の方々が多忙を極めているため、食事時間は長くても90分といったところ。しかし、「即位の礼」晩餐会ではさらに短い70分だったので、食事のサービスは、かなりテンポよく進める必要がありました。
蓋付きの食器を使うと、蓋を開けるサービスが必要になり、余計に時間がかかってしまいます。しかし、どうしても国賓の方々にサプライズ感を体験してもらいたいので、調理スタッフとサービススタッフが一致協力して、蓋を開ける演出を採用したということです。
世界の美食を味わい尽くした国賓にも驚きを与えた「即位の礼」晩餐会。これをアレンジしたコースはきっと、これまでに味わったことのない食体験となるはずなので、是非とも訪れてみてください。