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キム・カーダシアンがブランド名KIMONOを変更すると共に商標登録出願も放棄

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:USPTO TESSデータベース

米国セレブのキム・カーダシアンがKIMONOというブランド名の補整下着を販売開始し、さらに、それを商標登録出願したことで、「文化の盗用」ではないかと炎上していたのは周知かと思います(参照過去記事1参照過去記事2参照過去記事3)。

これに対応して、カーダシアン側は「KIMONO」というブランド名は使わないことを宣言していましたが、先日、新ブランド名が「SKIMS」になったことが発表されました(参照記事)。

もともと、自分の名前である「KIM(キム)」とかけて「KIMONO」と命名することを熱望していたというキム。

 改名後の名前も「KIM」と絡めるというアイディアは譲れなかったようで、ファッション用語では、「食い込むことなく、そっと、自然にフィットする」といった意味を持つ「Skim(スキム)」という言葉とかけて「SKIMS」となったよう。

ということのようです。

これに合わせて、当然ではありますが、米国特許商標庁に出願されていたKIMONO関係の商標登録出願も8月21日付けですべて放棄されていました(タイトル画像参照)。当然ながらSKIMSの商標登録出願は既にされていると思いますが、こちらはまだ公開されていないようです。(追記:EU(欧州)への出願も放棄されています。)

過去記事に以下のように書いていますが、

この問題の解決策ですが、いきなり裁判沙汰にするのは好ましくありませんし、勝率は必ずしも高くないと思います。やはり、日本の関連団体が、KIMONO Intimates社と米国の消費者に向けて何らかの声明(感情的な非難ではなく冷静な意見)を出すべきでしょう。KIMONO Intimates社も営利企業として損得で動きますから、米国の消費者の反発を買ったら損だなと思わせることができれば、別商標への変更も検討するのではと思います。

それに近いパターンで解決できたのではと思います。その観点では、最初に炎上騒ぎが起きた時に、京都市長が出したメッセージはまさに適切なものであったと思います。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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