世界のKIMONO商標登録出願状況を調べてみた
ツイッターのTLでルイ・ヴィトンにKIMONOというバッグ・財布のシリーズがあることを知りました。着物の襟元をイメージしたデザインということのようです(タイトル画像参照)。当然ながらブランド保護を重視するルイ・ヴィトン社なので、KIMONOを商標登録出願している可能性もあると思い、国際的商標データベースTMVIEWで調べてみましたが、該当するものはありませんでした。著名商標であるモノグラムで保護されているので敢えて記述的なKIMONOを登録するまでもない(べきではない)と考えたのかもしれません。
この機会に、KIMONOが衣服およびかばん類という「身につけるもの」において商標登録出願されているケースがないかを調べてみました。KIMONO単独での出願・登録を調査し、「KIMONO+他の文字」という形式は対象外としました。
現時点でKIMONOをかばん類(18類)で出願しているのはKimono Intimates社のみです。
衣服(25類)については、ブラジル(図形付き)、トルコ(標準文字)、ポルトガル(極端にデザインされたロゴ)でそれぞれ1件ずつ登録されています(それ以外はすべてKimono Intimates社のものです、なお、同社は米国に加えてEU(欧州連合)にも出願しています)。KIMONOが一般名詞化している英語圏で衣服を指定して出願しているのはKimono Intimates社のみであることがわかります。
ついでに書いておくと、Kimono Intimates社のEU出願は米国出願と同じく計4件ありますが(アクセサリーとかばん類、下着、小売サービス、そして、先日出願されたロゴ商標)、昨年に出願されたアクセサリーとかばん類、および、下着指定のものには第三者より類似先登録ありということで異議申立が請求されています(EUの商標は審査では類似先登録のチェックをせず、第三者からの異議申立を待つ制度となっています)。
この類似先登録は2件ともAYMERICH INVER, S.L.というスペインの会社によるHAKIMONOという商標登録です(おそらく日本の履物に由来すると思いますが詳細不明です)。別の言い方をすると、EUIPO(欧州連合知的財産庁)の審査官は、下着を指定したKIMONO出願を記述的であることを理由としては拒絶しなかったということになります。類似先登録の問題は先登録者と(金銭)交渉して申立を取り下げてもらえば解消しますので、下着を指定したKIMONO商標がこのままEUで登録されてしまう可能性は高いと言えます。