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18歳女子大生刺殺事件、22歳男逮捕、交際巡り通報4回:相談を活用する大切さ:神奈川県横浜市

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:相談は大切(写真:アフロ)

■女子大生刺殺事件

報道によると、6月29日、横浜市のマンション駐車場で大学1年の女子学生(18)が刺されて亡くなりました。

被害者が発見された後、男(22)が警察に出頭し、「待ち伏せして刺した」と供述しています。

被害者女性は、出頭した男との交際を巡り、警察に4回通報していました。一方的にダイレクトメールが送られ、「別れたら知らないからな」といったメッセージが届けられていたと、報道されています。

また別の報道によれば、男は合鍵を持っていて、被害者女性が朝目を覚ましたら隣にいたこともあったといいます。

■愛が動機の犯罪:歪んだ愛と真実の愛

人は、様々な犯罪を犯します。金目当て、恨み。しかし時に、愛が動機の場合もあります。もちろん、歪んだ愛ですが。

ストーカー犯罪は、相手への愛が動機です。こんなに愛しているのに、なぜ相手は応えてくれないのかと悩み、落ち込み、激しく怒り、犯罪的な行為に出ます。

本当の愛は、無条件の愛です。見返りを求めません。相手の幸せを願います。しかし、「愛している」と言ってはいても、こちらが気持ちや物を送っている分だけ、相手からも相応のものが返ってこないと気が済まない人がいます。

別れた後にストーカーになるような人は、交際中から相手に対して支配的であることが多く、暴力的である場合もあります。

失恋は誰にとっても辛いものですが、健康的な人は、いずれ癒され、新しい恋を探します。しかし、人間関係能力の低い人の中には、この相手以外との恋は考えられず、この人と結婚する以外の人生は考えられないと思い込みます。

「あなたがいないと生きていけない」といった表現は、文学的には美しくても現実的ではありません。

それでも、元々は相手を憎んでいるのではなく、愛していました。愛がすっかり無くなれば、ストーカー行為もなくなるでしょう。

警察は、泥棒やチンピラの犯罪行為には慣れています。ところが、このような愛を動機とした犯罪には慣れていません。かつては、民事不介入などとも言われたものです。

現在では、ストーカー事案にも積極的に関わるようになりましたが、悲しい事件は続いています。事案が多すぎて対応できない面もあるでしょうし、警察がまだこの種の事案に慣れていないこともあるでしょう。

警察を責めて済む話ではありません。しかし、仕方がなかったで染ませて良い話でもありません。

■ストーカーを納得させる

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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