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家電は消費増税前に買うべきか、後に買うべきか

坂口孝則コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家
大型家電は少しでも安く買いたいものです(写真:アフロ)

消費増税に備えた計画

消費増税が2019年10月に予定されています。いよいよ10パーセントという二桁パーセントになることから、時期が近づくにつれ、きっと消費増税前に駆け込み消費が生じるでしょう。もともと低価格の消費財ならともかく、高額な商品であれば、少しでも支出を抑えたいのは当然です。

たとえば、大型家電など。消費増税前に買ったほうがいい気もしますし、逆に、消費増税後には売れなくなって値引きされるかもしれない。消費増税前後、どちらがトクといえるでしょうか。女性週刊誌あたりが特集するでしょう。実際に前回の消費増税時には、私もコメントを求められました。

ところで、消費税の歴史は次のとおりです。

1989年4月:3%へ

1997年4月:5%へ

2014年4月:8%へ

そこで、これまでの増税時の経緯を見て、次の増税時を予想してみましょう。

以前の消費増税時

データは全国の消費者物価指数から取りました。消費者物価指数は、

消費税分を含めた消費者が実際に支払う価格を用いて作成

出典:統計局ホームページ

されています。これは、ある時点を起点として、同等の商品を買った場合に必要な費用がどのように上下するかを表しています。次以降、グラフの縦軸の具体的数字は、説明に役立たないので値を消しています。要するに縦軸は、高いか安いかを示しています。

テレビ

まずは前回の消費増税時に際して、テレビを見てください。赤丸を付けた箇所が消費増税のタイミングです。

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たしかに消費増税を迎えて上がってはいます。しかし、その後、よく見ると、半年くらいすると落ち着き、さらに経つと同じような価格帯になります。そしてご存知の通り、グラフには表現されていませんが、さらにテレビは安くなり続けました。

電気冷蔵庫

次に電気冷蔵庫を見てください。おなじく、赤丸を付けた箇所が消費増税のタイミングです。

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これを見ると、たしかに消費増税のタイミングで上昇しています。しかし、そこからは下落を続け、価格は落ち着いています。消費増税のタイミングで買うメリットがあるようには思えません。

しつこいが、さらに以前の消費増税時

次に、さらにさかのぼって、1997年4月の前々回を見てみましょう。このとき、残念ながらテレビはデータが存在しませんので、電気冷蔵庫からです。これもおなじく、赤丸を付けた箇所が消費増税のタイミングです。

電気冷蔵庫

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これも、消費増税時に価格はあがっているように見えます。しかし、同様に、そこから下落しています。

テレビの代わりになんでもよかったんですが、掃除機を調べてみました。

掃除機

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結果、やはりちょっとあがっていますが、やはりその後に下落。

次の消費増税時はどうすればいいか

上記の分析は、消費税以外の環境変化を、意図的になんら考慮していません。いわゆる乱暴な分析です。しかし、あえてそうしました。私はコメントを求められると、「消費税の前後、どちらがいいかというのは、わからない。しかし、これまでの経緯を見ると……」と前置きします。大型家電以外も、過去の経緯を分析すると面白いものです。

消費税は8%から10%へ、2%もあがります。その上昇幅は大きいものの、家電量販店では、もっと大幅な値引きセールもやっていますし、さらに、旧商品を激安で販売するケースもあります。そのへんも考えて、大型家電を購入したいものです。

コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家

テレビ・ラジオコメンテーター(レギュラーは日テレ「スッキリ!!」等)。大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務、原価企画に従事。その後、コンサルタントとしてサプライチェーン革新や小売業改革などに携わる。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、サプライチェーン学講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著書27作

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