愛と型取引は事前合意が重要なワケ
愛の行為も、型取引も事前合意が必要です。
サプライヤへ金型を無償保管させることが社会問題化しています。
説明は不要でしょうが、量産終了後に、次の発注有無が不明なのに金型等をサプライヤにタダで保管してもらう現状が行政から問題視されています。
2024年以降、多くの企業が公正取引委員会から型の無償保管が下請法違反だと勧告を受けています。
数千型をサプライヤに無償保管させるケースもあったようです。
そこで私は以前よりサプライヤとの事前合意が重要だと述べてきました。曖昧にしたい気持ちもわかるけれど、逃げずに費用負担を協議しないと、リスクがありますよと。
そこで、私はずっと「男女の行為も調達契約も事前の合意が必要だ」と表現してきました。
すると一部の方から「愛は男女以外でもありうるのではないか」とご指摘をいただきました。めんどくせえなあ。冗談です。
たしかに同性の可能性もありますよね。じゃあ「愛の行為」でお願いします。
話を戻しますね。
みなさんの会社で、サプライヤに金型等を無償保管させていますか?
その場合は注意が必要です。原理的には大企業同士でも独禁法上の優越的地位の濫用に当てはまるかもしれません。
ただ現実的には勧告された例を見ると
「下請法対象取引」
「所有権は発注側にある型を取引先に貸与している」
「量産を終了して相当な期間が過ぎているのに無償で保管してもらっている」。この条件に当てはまっていると問題です。
なお、私が聞いた話では、これは倉庫業法にも関係します。何それと思った人は多いですよね。金型をサプライヤに保管させ、さらにお金を払うとします。ただサプライヤが倉庫業法許可を得ていないケースが大半です。お客からお金をもらって倉庫に保管する行為は倉庫業法に関係するものの、調達部門は意図しない形でサプライヤに脱法行為をさせているのです。
さて、ではいくら払えばいいのでしょうか? 答えはありません。
双方の納得する額をサプライヤに支払ってください。ただ前例で答えるならば年に1万円から2万円ほどを支払っています。
私たちの会社では、この型の無償保管についての情報発信を続けています。非常に好評であることから、関心の高さが窺われます。それにしても、異常なほど人気なので、驚くほどです。
これまで日本企業における取引条件は曖昧が美徳だとされてきました。金型の保管とか追加費用の負担だとかね。でもこれからは事前合意ができていない、として批判の対象になりえます。
目の前の危機の対応であれば、繰り返します。
「下請法対象取引」
「所有権は発注側にある型を取引先に貸与している」
「量産を終了して相当な期間が過ぎているのに無償で保管させている」
この条件に当てはまる場合は、とくに注意してください。
サプライヤと共創すべき、と叫ばれています。簡単にいうならば、サプライヤと一緒に価値を生み出そうと。ただし、そもそも取引先のうち、蜜月状態にあるサプライヤはいいんだけれども、不満をもっているサプライヤにいかにご納得いただくかが重要なんですよね。
共創の前に、調達業務への納得をしていただくべきなんです。
ためしに、この文章をChatGPTに読ませてキャッチフレーズをくれ、といったら、次でした。
「合意して 恋も調達 うまくいく」
「恋のルール 取引前に 確認を」
だってさ。
話を戻しますと、これから調達人材にとっては型の保管問題に加え下請法については必須習得題材になるでしょうね。