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流れ星を見るチャンスを逃がすな -ペルセウス座流星群が極大に-

縣秀彦自然科学研究機構 国立天文台 准教授
夏の夜の風物詩ーペルセウス座流星群 今週末が観望の好条件 提供:国立天文台

星空を眺めてみませんか?

 この夏の猛暑や集中豪雨被害などの影響で、夜はなかなか寝付けないという方も多いのではないでしょうか。気象災害に日々の生活が脅かされる異常気象の過酷な夏ですが、この先一週間は、月遅れのお盆、そして15日の平成最後の終戦記念日と、平和や歴史、人びとの幸せや祖先への感謝など、心を静めて自分を取り巻くさまざまなことに想いを馳せる時期を迎えます。この時期だからこそ、もし、晴れて星が見えそうなら、夜空を見上げて星空や流れ星を楽しんでみてはいかがでしょうか。夏の星空見物は、日々の生活に疲れた心を少しでも癒してくれるに違いありません。星ぼしの間を飛び交う流星に願いを込めるのもよいでしょう。

見頃を迎えるペルセウス座流星群

 今年は、日本時間で8月13日(月)午前10時頃にペルセウス座流星群(以下、ペルセ群と表記)の極大を迎えると予想されています。このとき日本は昼間のためペルセ群を観察することはできません。日本では極大時刻に向かう前の夜、つまり、12日(日)深夜から13日未明にかけて最も見頃を迎えると予想されます。今年は、天気がよく周囲に街明りのない条件のよい場所では、1時間あたり40個程度の出現が期待されています。

 極大日の前後にあたる11日(土)、13日(月)の深夜から明け方にかけてもある程度の数の出現が見込まれています。今年は、新月が8月11日のため、月明りの影響なくペルセ群を楽しむことができ、最良の観測条件となっています。ただ、台風14号の影響もあり、日本各地において、いつ晴れるかはわかりませんし、上記の予想とは異なるタイミングで流星が活発に出現する可能性もあります。晴れている地域では、なるべく長い時間、夜空を見上げてみてください。長く観察すれば、それだけ流星を見るチャンスが増えることになります。

ペルセウス座流星群の見え方 北東の空に昇ってくるペルセウス座の方向から、空全体、四方八方に流れ星が出現する。ペルセウス座の方向のみ注目せず、街明りを避けて、空全体を見渡すようにしよう。提供:国立天文台
ペルセウス座流星群の見え方 北東の空に昇ってくるペルセウス座の方向から、空全体、四方八方に流れ星が出現する。ペルセウス座の方向のみ注目せず、街明りを避けて、空全体を見渡すようにしよう。提供:国立天文台

流星とは何か?

 流星(流れ星)とは、宇宙空間にある直径1mm~数cm程度の塵粒(ダスト)が地球の大気とぶつかり、地球大気や気化した塵の成分が光を放つ現象です。流れ星には、散在流星と群流星があります。散在流星とは、いつどこを流れるか全く予測が付かない流星で、群流星とは、ある時期に同じ方向から四方八方に飛ぶようにみられる流星のことです。一方、群流星が飛んでくる方向を放射点(または輻射点)と呼びます。放射点がどの星座に含まれているかで、その流星群の名前が決まります。ペルセ群(ペルセウス座流星群)の場合、放射点はペルセウス座ガンマ星の近くにあります。8月中、放射点は夕方には地平線の上にありますが、実際に群流星を目にし始めるのは、もう少し放射点が高くなる午後9時から午後10時頃からとなります。明け方まで放射点は高くなり続けるので、真夜中頃から空が白み始めるまで観察しやすい時間帯が続きます。

ペルセウス座流星群とは?

 毎年、比較的安定して出現する三大流星群のひとつです。条件がよいときに熟練した観測者が見ると、1時間あたり80個以上の流星が観測されることもあります。極大の時期が月遅れのお盆の直前なので、夏休みなどの時期と重なり、毎年、多くの人が注目する流星群です。極大時刻の前後では、夜空の暗い場所で快晴下で観察したとき、1時間あたりに見られる流星数は40個程度。ただし、天候や街明りの有無によって見える数は大きく減少します。毎年、ペルセ群は7月17日頃から8月24日頃まで、数は少ないものの出現が確認されています。極大は毎年8月13日前後で、流星数が増えるのは8月中旬以降です。

 ペルセウス座の方向にある放射点は、夕方には地平線の上にあります。しかし、実際に流星がよく流れるのは、放射点の高度が上がる午後9時以降となります。明け方まで放射点は高くなり続けるので、真夜中頃から空が白み始めるまでが観察しやすい時間帯です。

 ペルセウス座流星群の母天体は、スイフト・タットル彗星(109P/Swift-Tuttle)で、太陽の周りを約130年の周期で公転しています。

流れ星の観察の仕方

 流星を見る方法について具体的に説明しましょう。流星観察では、望遠鏡や双眼鏡は必要ありません。肉眼で観察しましょう。望遠鏡や双眼鏡を使うと見える範囲が狭くなってしまうため、一般の方の流星観察には適しません。まず、屋外に出てから暗さに目が慣れるまで、最低でも10分間は目を慣らすようにしましょう。人間の目の瞳孔は明るい所で小さく、暗い所で大きくなりますが、その順応には時間が必要です。個人差がありますが、一般に10分以上は必要と言われています。また、地上の明るい光源(水銀灯やネオンサインのような街明り、車のヘッドライトなど)が観察中に直接、目に入ってこないように注意しましょう。

 流星は空のどこを飛ぶかは予測が付きません。流星群の場合も、放射点のある星座でのみ流星が見えるのでは全くありません。群流星の場合、放射点近くでは、ゆっくりとした動きで短い経路のみ輝きます。一方、放射点から離れた方向では、素早い動きで長い線を引いて輝きます。したがって、放射点の位置さえ確認すれば、自分の見ている方向では、どちらの方向からどちらに向ってどんなスピードで群流星が流れるかを予想することができます。虫に刺されないような防虫対策をしっかり行い、リラックスした服装・姿勢で無理をせずに楽しんでください。また、熱中症や防犯、車の事故等にも充分お気をつけてください。

 国立天文台では、出現数が多いと予想される流星群の場合、流れ星を数えてウェブ上で報告しあおうという流星観察キャンペーンを行っています。今年のペルセウス座流星群では、8月11日夜から14日朝まで、「夏の夜、流れ星を数えよう2018」と題して、ウェブ上での参加型キャンペーンを行っています。ぜひご参加ください。 また、日本天文学会インターネット版天文学辞典「流星群」もご活用ください。

夏の夜、流れ星を数えよう2018 提供:国立天文台
夏の夜、流れ星を数えよう2018 提供:国立天文台
自然科学研究機構 国立天文台 准教授

1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。国際天文学連合(IAU)国際普及室所属。国立天文台で天文教育と天文学の普及活動を担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。

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