寒気南下を示す日本海の筋状の雲と南シナ海で発生したばかりの台風26号の雲 日本は冬でも南の海はまだ夏
日本海の筋状の雲
日本付近は西高東低の冬型の気圧配置が続き、寒気が周期的に南下しています(図1)。
強い寒気の目安として上空約5500メートルでマイナス36度が使われますが、12月23日9時の段階で、東北地方北部まで南下しています。
また、平地でも雪となる目安である上空約5500メートルでマイナス30度は、北陸地方まで南下しています。
日本海には強い寒気の南下を示す筋状の雲が発生しており、山陰から北陸、北日本では雪や雨が降っており、北日本の山沿いを中心に積雪が増えています。
気象庁のアメダス積雪深計での観測では、23日9時の段階で青森県・酸ケ湯の2メートル70センチが一番大きな値ですが、気象庁の解析によると、北日本の山沿いでは積雪が3メートルを超えています(図2)。
日本海側を中心に大雪に注意・警戒してください。
令和6年(2024年)の初雪は、関東や北海道では平年より早いところが多かったものの、西日本や北陸西部では平年より遅く、12月22日に福岡で平年より6日、下関で平年より12日遅い初雪を観測しました(図3)。
厳しい夏の暑さから長い残暑と、暑さが印象に残る令和6年(2024年)の日本列島でしたが、ここへ来て、季節は大きく進み、冬本番となっています。
台風26号の発生
日本列島では冬本番ですが、南シナ海では夏の名残の台風26号が12月23日15時に発生しました(タイトル画像)。
ただ、発達した積乱雲の塊は、台風の中心付近ではなく、その北側にありますので、大きく発達することはなさそうです(タイトル画像)。
また、台風26号が存在する海域の海面水温は、台風発生の目安となる27度を上回っているのですが、すぐに海面水温が27度以下の海域に進むため、すぐに熱帯低気圧に衰え、寿命は短そうです。日本への影響はありません(図4)。
そして、令和6年(2024年)の台風発生数は26個となり、平年の25.1個を超えました(表)。
なお、今年の台風上陸は5号と10号の2個で、平年の3.0個を下回りそうです。
ただ、関東の東海上から三陸沖を北上し、強まってきた太平洋高気圧によって向きを西に変えて8月12日8時30分ころに岩手県南部の大船渡市付近に上陸し、岩手県を中心に記録的な大雨を降らせた台風5号と、非常に強勢力で8月29日8時頃、鹿児島県薩摩川内市付近に上陸し、九州南部と愛媛県で暴風・波浪・高潮の特別警報が発表となった台風10号の2個です。
2個とはいえ、特徴が際立ち、影響が大きかった令和6年(2024年)の上陸台風でした。
四輪台風
令和6年(2024年)は、台風の発生が遅く、第1号がフィリピン近海で発生したのは、5月26日でした。
台風の統計がある昭和26年(1951年)以降、台風1号が一番遅く発生したのは、平成10年(1998年)の7月9日で、令和6年(2024年)は、史上7番目の遅さということになります。
6月に台風の発生はなく、7月も台風発生数が2個と平年に比べて少なかったのですが、8月は平年並みに6個、9月は平年より多い8個も発生し、ほぼ平年並みの発生数となってきました。
そして、10月は平年並みの3個、11月はすでに平年より多い4個も発生しました。
四輪台風は、平成29年(2017年)7月23日以来、約7年ぶりです。
天気図上で3個の台風が同時に存在することは、ほぼ1年に1回くらいあり、それほど珍しいことではありませんが、ほとんどが台風発生が多い夏季の現象です。
資料は少し古くなりますが、以前に、昭和26年(1951年)から昭和52年(1977年)の資料を用いて、台風について調べたことがあります。
それによると、台風が3個以上同時に存在するのは、7月から9月が多いのですが、11月にも、10~15年に1回は存在しています。
ただ、4個並ぶとなると珍しくなり、11月に並んだのは、今回が最初です。
なお、5個並ぶとなると、台風の統計がある昭和26年(1951年)以降では1回しかありません。それは、昭和35年(1960年)8月23日15時から翌24日9時までのことで、天気図上に西から台風17号、15号、16号、14号、18号という5個の台風が並びました。
タイトル画像、図1、図2、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図3の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
表の出典:気象庁ホームページ。