東京は12月降水なしで年明けか 大火の可能性がある低い実効湿度の状態が継続中
続く冬型の気圧配置
大きくみると、西高東低の冬型の気圧配置が周期的に強まったり、弱まったりしています(図1)。
上空の寒気の南下も西日本まで南下することもありましたが、12月17日9時の段階では、平地でも雪となる目安の上空1500メートル付近でマイナス6度線は、新潟県・佐渡島付近となっています。
北日本や西・東日本の日本海側の地方は雨・雪が周期的に強まっています。しかし、西・東日本の太平洋側の地方は、ほとんどの日で晴れて乾燥しています。
このため、関東地方や西日本の太平洋側を中心に降水が少ない状態が続いています。直近30日間の降水量の平年比を見ると、東京48パーセント、前橋30パーセント、高知23パーセント、岡山14パーセント、宮崎14パーセントなどとなっています(図2)。
特に、12月に入ってからの少雨は著しく、平年の1割程度しか降っていません。
関東地方や西日本の太平洋側の地方を中心に、木材の乾燥状態を示す実効湿度は低い値が続いていますので、大火の可能性が非常に高くなっています。
火災気象通報と実効湿度
火災警報は、屋外での火の使用の制限等が行われますので、大雨警報や暴風警報などの気象警報と違って、強制力がある警報です。
気象庁では、市町村長が発令する火災警報の基礎資料として、気象の状況が火災の予防上危険と認められるときに、都道府県知事に対して火災気象通報を行っています。
そして、都道府県知事は、火災気象通報を受けた場合は、直ちにこれを市町村長に通報します。
火災気象通報を行う基準は、担当気象台と都道府県の協議により、その地域ごとに、実効湿度、最小湿度、風速により決められています。
ここでいう実効湿度は、木材(生木ではない例えば柱)の乾燥度を表すもので、当日の平均湿度と前日の実効湿度を用いて計算されます。
当日の実効湿度=0.3×(当日の平均湿度)+0.7×(前日の実効湿度)
実効湿度の計算には、前日の実効湿度が必要ですが、最初に計算するときには適当な数字を入れても大丈夫です。
例えば、図3は、令和6年(2024年)11月から12月の実効湿度の推移ですが、10月31日の実効湿度が0パーセントであっても、100パーセントであっても、計算を続けて15日目くらいになれば、両者が同じ値になることを示しています。
大火の危険性がある実効湿度の目安は、60パーセントと言われています。
今年、令和6年(2024年)の東京は、11月下旬に一時的に60パーセントを下回り、12月に入ると、再び値が小さくなって50パーセントくらいとなっています。
こうなると、多少雨が降っても、実効湿度がなかなか60パーセント以上にはならず、大火になりやすい状態がしばらく続く恐れがあります。
東京の年末年始までの天気と「月降水量がほぼゼロ」
東京の16日先までの天気予報をみると、12月21日だけは、信頼度が5段階で一番低いEの予報ですが、黒雲マーク(雨の可能性があるくもり)となっていますが、残りの日はお日様マーク(晴れ)か白雲マーク(雨の可能性がないくもり)の予報です(図4)。
しかも信頼度が5段階で一番高いAを置く含む予報です。
このまま、東京では、12月の降水量が0.0ミリとして新年を迎えそうです。
東京の月降水量が0.0ミリとなったのは、明治8年(1875年)6月の観測開始以来、これまで4例しかありません。
昭和15年(1940年)1月、昭和48年(1973年)12月、昭和63年(1988年)12月、平成7年(1995年)12月の4例で、ほとんどが12月です。
昭和43年(1968年)以降、降水の観測が、0.5ミリとなっていますので、明治13年(1880年)12月、明治30年(1897年)12月、昭和38年(1963年)1月のいずれも月降水量が0.2ミリの例を加えても、約150年という長い東京の気象観測の歴史の中で、月降水量がほぼ0は、7例しか観測されていません。
つまり、20年に一度の少雨が起きようとしています。
図1、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図2の出典:気象庁ホームページ。
図3の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。