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今週末の「大雪(たいせつ)」に強い寒気が南下 これまで暖かったので体感的には厳しい寒さ

饒村曜気象予報士
大雪 閉塞成冬(提供:アフロ)

今週末の寒気南下

 令和6年(2024年)12月5日は、大陸から高気圧が張り出し、日本海には寒気の南下を示す筋状の雲がではじめました(図1)。

図1 西高東低の気圧配置になりつつある地上天気図と衛星画像(12月5日9時)
図1 西高東低の気圧配置になりつつある地上天気図と衛星画像(12月5日9時)

 一般的に、等圧線の間隔が狭くなっている所では強い風が吹き、強い寒気が南下してきますので、12月5日は西日本を中心に寒気が南下しています。

 12月6日以降は冬型の気圧配置が強まり、東日本や北日本でも等圧線の間隔が狭まって強い寒気が南下する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(上は12月6日9時、下は12月7日9時の予想)
図2 予想天気図(上は12月6日9時、下は12月7日9時の予想)

 令和6年(2024年)は10月前半まで記録的な暑さが続き、最高気温が25度以上の夏日を観測した地点が約半数という日があったのですが、10月後半以降は急激に減り、12月5日の夏日は2地点(気温を観測している914地点の約0.2パーセント)でした(図3)。

図3 全国の夏日と冬日の観測地点数の推移(12月6日以降はウェザーマップの予報)
図3 全国の夏日と冬日の観測地点数の推移(12月6日以降はウェザーマップの予報)

 これに対し、最低気温が0度を下回った冬日は、増減を繰り返しながら増えており、12月5日は293地点(約32パーセント)でした。そして、冬日は、6日に320地点(35パーセント)、7日に361地点(約39パーセント)と増える見込みです。

東京(東京都心)の最高気温と最低気温の推移

 令和6年(2024年)の東京は、記録的に気温が高い年となりました。

 最高気温が25度以上の夏日を最初に観測したのは3月31日、最高気温が30度以上の真夏日は6月12日、最高気温が35度以上の猛暑日を最初に観測したのは7月4日、最低気温が25度以上の熱帯夜を最初に観測したのは7月4日と、いずれも平年より早くなっています。

 そして、10月になっても暑い日が続き、猛暑日は20回、真夏日は83回、夏日は153回、熱帯夜は47回もありました(図4)。

図4 令和6年(2024年)8月以降の東京の最高気温と最低気温の推移(12月6日以降はウェザーマップの予報)
図4 令和6年(2024年)8月以降の東京の最高気温と最低気温の推移(12月6日以降はウェザーマップの予報)

 12月に入っても平年より気温が高い日が続きましたが、季節が進んで、平年値もかなり低くなっています。

 そして、12月7日以降は強い寒気が南下して気温が下がりますが、最高気温、最低気温とも、下がってほぼ平年並みです。

 ただ、これまで気温が高く推移していたことから、体感的には非常に寒く感じると思います。

二十四節気

 現在、ほぼ全世界で使用されている暦は、太陽の動きに基づいた「太陽暦」ですが、江戸時代以前の日本では、月の運行に基づいた「太陰暦」でした。

 太陰暦は、月の形で日付がわかる等、大変便利なのですが、太陽の位置と無関係であるため、暦と季節との間にずれが生じてしまい、農耕等への活用には二十四節気が使われました。

 日本の季節は、暦の上の季節(二十四節気)よりも遅れて訪れます。

 これは、古代の中国・華北地方で、季節を知る目安として、太陽の運行をもとにした二十四節気を使っていたものを、そのまま使ったことが原因であると言われています。

 このため、季節の言葉をそのまま使うとずれがでてくるのですが、このずれをそのままにしていることが日本人の知恵と思います。

 つまり、暦の季節を、様々な行動の準備に使おうと考えたのではないかと思います。

 12月7日は二十四節気の「大雪(たいせつ)」、山に雪が積もり、平地でも雪が降る時期が来るので、それに備えなさいという意味かと思います。

図5 48時間予想降雪量(12月6日0時から7日24時までの48時間)
図5 48時間予想降雪量(12月6日0時から7日24時までの48時間)

 令和6年(2024年)の大雪を含む週末は、北陸から北日本の日本海側を中心に48時間に50センチ以上の雪が降るという予報になっています。

 暦通り、季節は着実に進んでいます。 

図1、図2、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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