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プレッシング。それは、日本のサッカーが進歩するための最重要ポイント

杉山茂樹スポーツライター

「球際の強さ」「速い攻撃」。これはハリルホジッチが、いまの日本代表に不足している要素として挙げたものだが、そうした事態に陥った理由は、日本のこれまでを振り返ればハッキリと分かる。当然の帰結であることが。

プレッシングの文化が依然として浸透していないためだ。

できるだけ高い位置でボールを奪い、相手の守備態勢が整わぬうちに攻め切ろうとするサッカー。プレッシングを一言でいえばそうなるが、日本は長い間、それとは対極に位置するサッカーをしてきた。

後ろを固めるサッカーだ。その代表的な布陣である3-4-1-2と、ボールを奪う位置に拘らないブラジル式の4-2-2-2を、日本はジーコ時代(02〜06年)まで採用した。

世界のトレンドとは異なる方向に進んできた。とりわけ98年以降を比較すると、日本の特異性は明らかになる。ジーコジャパン以降、日本でも世界の流れに従い3−4−1−2が数を減らし、4−2−3−1が台頭するようになったが、それでもプレッシングは上手くいかなかった。

例えば岡田ジャパン(第2次)。2008年3月、アジアカップ予選対バーレーン戦に3-4-1-2で臨んだが、そこで敗戦を喫すると、岡田監督は布陣を4-2-3-1に変更した。守備的サッカーを代表する布陣から、攻撃的サッカーを代表する布陣へ。それはまさに哲学の大転換に値する。しかし、岡田監督は、布陣を変えた理由について説明をしなかった。肝心要の話を避けた。岡田さんに限った話ではない。同じ頃、同様に布陣を変えた多くの監督がそうだった。その数列表記だけ欧州のトレンドを真似たという感じだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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