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純烈とのコラボも話題に! 2人体制になったダチョウ倶楽部の「熱湯風呂」「おでん芸」とは?

ラリー遠田作家・お笑い評論家
(写真:アフロ)

ダチョウ倶楽部のエース的な存在だった上島竜兵さんが急逝してしまったのは、お笑い界にとっても、ダチョウ倶楽部の残された2人にとっても大きな痛手だった。ダチョウ倶楽部は上島さんを軸にした3人の絶妙なチームワークによって笑いを生み出してきた。当然ながら、彼の代わりになるような人は存在しないし、抜けた穴はそう簡単に埋まるものではない。

7月19日、『アメトーーク!』の2時間特番「ダチョウ倶楽部を考えようSP」が放送された。スタジオにはダチョウ倶楽部の肥後克広、寺門ジモンと彼らを慕う芸人たちが集められ、ダチョウ倶楽部の歴史を振り返りながら、2人体制になった彼らの今後について前向きに考える内容になっていた。

ダチョウ倶楽部と言えば、一般的には熱々おでん、熱湯風呂などのリアクション芸と「聞いてないよ」「ヤー」などのギャグのイメージが強いかもしれない。ただ、彼らの芸人としての強みはそれだけではない。

ダチョウ倶楽部はデビュー間もない頃にテレビ朝日の演芸番組『ザ・テレビ演芸』で10週勝ち抜きを果たしてチャンピオンに輝いたこともあるほど、ネタの面白さで評価される将来有望な若手芸人だったのだ。今回の『アメトーーク!』では、そんな彼らの知られざる過去も明かされていた。

新生「おでん芸」「熱湯風呂」を披露

番組の後半では、これまでにやっていたトリオ芸を2人でやるにはどうすればいいのかというのが話題にのぼり、肥後と寺門が2人バージョンの「熱々おでん」と「熱湯風呂」に挑戦する、という企画が行われていた。

「熱々おでん」では、上島さんがいないことによって迫力がなくなった印象は否めなかったものの、「熱湯風呂」では、上島さんの写真パネルを持った肥後が熱湯風呂に向かい、上島さんの写真だけが浴槽に落ちていく、という新たな試みが行われていた。

この日の『アメトーーク!』は、上島さんが亡くなったという事実に誠実に向き合いながらも、決して湿っぽい雰囲気にならず、2人になったダチョウ倶楽部の未来にきちんと向き合うような内容になっていた。

2人のダチョウ倶楽部はこれからどうなるのか。もともと彼らは個々の活動も多かったトリオである。それぞれの個人としての活動はこれからも今まで通り続いていくだろう。

また、トリオがコンビに変わり、フロントマンの上島さんを失ったことの損失が大きいとはいえ、彼らの芸のすべてができなくなるわけではない。ダチョウ倶楽部の数々の芸やギャグは、すでに多くの人に親しまれる公共財のようなものになっている。上島さんがいなくても、ダチョウ倶楽部がほかのタレントとかかわるときには、今までのやり方で笑いを生み出すことはできるはずだ。

純烈と新ユニット結成

さらに、彼らの今後を占う上で参考になると思われるのが、彼らが4人組男性歌謡グループ「純烈」とのコラボを発表したことだ。純烈とダチョウ倶楽部は6人組の新ユニット「純烈○(○は温泉記号)ダチョウ」を結成して、配信で楽曲をリリースするという。

もともと上島さんが亡くなった後、肥後は「ダチョウ倶楽部は解散しません。二人で純烈のオーディションを受けます。」というコメントを発表していた。これを受けて純烈のリーダーである酒井一圭が「合格ですよ!」とツイッターで返答して、コラボが正式に実現することになった。

営業で全国のスーパー銭湯を回ってきた純烈と、熱湯風呂を持ちネタにしているダチョウ倶楽部は、風呂に縁のあるグループ同士で相性も抜群である。

上島さんが抜けたことによるパワー不足を補う意味でも、このようなコラボ戦略は有効である。純烈に限らず、ほかのグループやコンビと積極的に手を組んだり、合同で何らかの企画を行ったりすることで、新しい活動の形が見えてくるのではないか。

ダチョウ倶楽部の最大の魅力は、共演者や見ている人すべてを巻き込む優しさと温かさがあることだ。ほかの人と共同で何かをやっていくというのは、彼らの強みを生かすことになるに違いない。新たに生まれ変わったダチョウ倶楽部の今後に期待したい。

作家・お笑い評論家

テレビ番組制作会社勤務を経て作家・お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行う。主な著書に『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)がある。マンガ『イロモンガール』(白泉社)では原作を担当した。

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