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街場で注目の新しいアフタヌーンティー5選とその背景

東龍グルメジャーナリスト
(C) 東京 芝 とうふ屋うかい

ランチやアフタヌーンティーが人気

3回目の緊急事態宣言も解除され、東京都はまん延防止等重点措置に移行しました。飲食店では時短営業と酒類提供の制限が要請されており、飲食店は引き続き大変な状況です。ディナーではあまりゆっくりと過ごすことができないので、ランチが利用されている傾向にあります。そしてランチに加えて人気となっているのが、アフタヌーンティーです。

街場のレストランでは、新しく始められたアフタヌーンティーが登場しています。人気を博しているアフタヌーンティーとその背景を探っていきましょう。

グレイ ルーム

(C) グレイ ルーム
(C) グレイ ルーム

「グレイ ルーム(THE GREY ROOM)」は昨年話題となったモダンインディアンレストラン「スパイスラボトーキョー(SPICE LAB TOKYO)」の上階にある系列のダイニングバー。

「THE GREY ROOM Afternoon Tea」は2020年3月から開始されましたが、緊急事態宣言の影響で定常的に提供できませんでした。それでも話題となったのには理由があります。バルフィやラドゥーといったインドのスイーツや、ドクラやナン、チャートなど「スパイスラボトーキョー」でも登場するフィンガーフードを堪能できるからです。

インドの名産物である紅茶にもこだわりがあります。インド産アッサムやダージリンに加えて、様々なスパイスを合わせた3種のグレイルームオリジナルブレンドティーやオリジナルチャイ、インド産コーヒー3種を用意。インドを体験できるアフタヌーンティーであるといえるでしょう。

水綾閣

(C) 水綾閣
(C) 水綾閣

2021年4月3日というコロナ禍の中、横浜を盛り上げようと、広東料理「水綾閣(すいりんかく)」が馬車道にオープンしました。総料理長を務める横尾博志氏、点心長の網野北斗氏はともに実力派であるだけに注目されています。

横尾氏の料理に加えて、網野氏の独創的な点心も存分に味わってもらいたいということから「アフタヌーン飲茶」を開業時から実施。横尾氏の焼物と、網野氏の点心の盛り合わせが全部で6種、さらには野菜料理、麺もしくはご飯物、デザート、台湾や中国・雲南省の中国茶という豪華な構成です。「アフタヌーン飲茶」は女性に好評で、リピーターも多いといいます。

「水綾閣」のスペシャリテである焼物と点心、高級中国茶を十二分に楽しめることが、成功している大きな要因ではないでしょうか。

アルマーニ / リストランテ

(C) アルマーニ / リストランテ
(C) アルマーニ / リストランテ

「アルマーニ / リストランテ(ARMANI / RISTORANTE)」はイタリアの高級ファッションブランドのアルマーニが運営する高級イタリアン。ナポリ出身のスターシェフであるカルミネ・アマランテ氏がエグゼクティブシェフを務めます。

アフタヌーンティーは2014年からレストラン上階の11階にあるラウンジバーで実施。既に多くの方に知られていますが、2021年7月1日から始まる夏のアフタヌーンティーはイタリアのニュアンスが色濃く、これまで以上に話題をさらっています。

セイボリーではジャガイモとミントを用いたサルディーニャのラビオリ「クルルジョネス」、スイーツではティラミスやライチパンナコッタが特筆するべきメニュー。日本ではイタリア料理がポピュラーなので、イタリア風アフタヌーンティーが支持されているのは納得です。

東京 芝 とうふ屋うかい

(C) 東京 芝 とうふ屋うかい
(C) 東京 芝 とうふ屋うかい

うかいは懐石料理や割烹料理、鉄板料理などで有名なレストラングループ。「東京 芝 とうふ屋かい」では、豆腐を中心とした日本料理に加えて、実は1日40食限定のアフタヌーンティーセットも提供されています。

店内の一角に設けられたバーラウンジ「Bar 吉祥庵」は隠れ家的な空間で、利用したいというゲストがたくさんいました。そこで2020年8月からアフタヌーンティーセットを始めたところ、優雅な空間で「うかい亭」のスイーツとお茶を楽しめると、クチコミが広がっていったのです。

アフタヌーンティーセットはグラニテ、定番のシフォンケーキなど4種類から選べるケーキ、コーヒーまたは紅茶、小菓子という構成。「とうふ屋うかい」のグラニテ、「うかい亭」のケーキ、「アトリエうかい」の小菓子と、うかいグループ自慢のスイーツが集結しているのが、人気の秘密です。

バンクシア ワールドワイン&オーストラリアンビストロ

(C) バンクシア ワールドワイン&オーストラリアンビストロ
(C) バンクシア ワールドワイン&オーストラリアンビストロ

オーストラリア料理を味わえる「バンクシア ワールドワイン&オーストラリアンビストロ」では、2021年6月10日からアフタヌーンティーを開始したばかり。実施の理由は、酒類提供の禁止や制限をカバーするためと、周辺のカフェはいつも満席で、休憩の場所になればという考えからでした。

三段ティースタンドの下段は、セイボリーかデザートかを選べるという面白い試み。タスマニアサーモンのオープンサンドやオーストラリア産バニラのブリュレ、アップグレードして選べるオージービーフバーガーやラムバーガーなど、オーストラリアの食を満喫できます。メルボルン発のオーガニックチョコレートブランド「パナチョコレート」を味わえるのも同店ならでは。

開始されてからまだ日が浅いですが、オーストラリアをテーマにした珍しいアフタヌーンティーということで、非常に好評です。

個性を生かしたアフタヌーンティー

どれも個性溢れるアフタヌーンティーばかりですが、特筆するべきはカフェやラウンジで行われているアフタヌーンティーではないというところ。

モダンインディアン、中国料理、とうふ料理、オーストラリア料理、イタリア料理と、専門レストランが自身の個性を生かして、工夫が施されたアフタヌーンティーを創り上げているのです。

コロナ禍の中で、飲食店はテイクアウトやデリバリーに活路を見出そうとしていますが、物販を行うために飲食店をオープンしたわけではありません。店内でゲストをもてなしたいからこそ飲食店を開業したのです。

アイドルタイムにアフタヌーンティーを行うことによって、ディナーの売上減少をカバーできるだけではなく、素晴らしい空間が活用され、スタッフのやりがいも維持されます。そしてもちろんゲストも喜びます。

興味があるアフタヌーンティーがあれば是非とも体験していただきたいです。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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