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ユニクロペイに無印ペイ、ドンキのmajica…「店舗限定電子マネーアプリ」活用のカギ2つ

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
独自の電子マネーアプリをリリースする企業が増えた(画像は無印良品ホームページ)

ドンキのmajika、ユニクロペイに無印ペイ、店舗限定電子マネーアプリが増えている

最近、「店舗限定」の電子マネーが増えています。例えば

・ユニクロ UNIQLO Pay 

・無印良品 MUJI passport Pay 

・ドンキホーテ majica

・吉野家 吉野家プリカ 

など、皆さんの日常生活で立ち寄るお店が、それぞれのお店のチェーン店だけで利用できる電子マネーを発行しています。アプリを活用することでプリペイドカード機能を実現しているイメージです(プリペイドカードの発行を必須とするケースもある)。

こうした「店舗限定」の電子決済は、コーヒーチェーンでは以前から提供されていました。スタバやタリーズのアプリ(ないしカード)にチャージしてからコーヒーを飲んでいる人も多いと思いますが、ドトール(エクセルシオールも同一アプリ)、上島珈琲なども同様のアプリを提供しています。これらはそのお店しか使えない決済方法ですが、ヘビーユーザーはほぼ毎日通っていたりしますから数千円使うのはすぐですし、ポイント還元があるため明らかにお得です。

一方でユニクロや無印良品、吉野家に毎日のように通うことはまずありません。となると、こうした店舗限定電子マネーアプリはちょっと使い方を工夫する必要がありそうです。考えてみましょう。

活用術1)必要な額だけをチャージして残高を残さない

このタイプの電子マネーは「チャージして利用」のタイプと、「クレカないし銀行口座から直接引き落とし(チャージ不要)」のタイプがあります。たとえばMUJI passport Payはクレジットカードの登録が前提です。UNIQLO Payはクレジットカードおよび一部の銀行口座が登録できます。

チャージが不要ということは基本的に残高はいつもゼロということです。この場合、利用したいときだけ利用すればいいのでまったく損はありません。むしろクーポンやポイントが利用できればその分だけお得になります。

注意したいのは「チャージして利用」のタイプです。例えばmajicaは現金チャージが基本となっています(キャッシュカードを用いたデビットカードとしてのチャージも可。系列クレカのみクレカチャージ可)。

この場合、1000円単位でチャージをすることが多いと思いますが、普通はチャージ後の残高が少し残ることになります。常連のコーヒーショップなら一週間もしないで使い切っては再チャージするので、ムダではありませんが、数百円から千円程度、何カ月も残高を残しているのはあまり賢い方法ではありません。

チャージ残高というのはお店にとっては「人質」の要素があります。もう一度来ないと消費できないので、またお店に来ることを促しますし、利用するまでの残高はお店にとっては資金でもあります。もし失効期間が設定されていたら、それはお店に現金を渡してしまうようなものです。

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活用術2)特典やクーポンがないなら手を出さない

もうひとつ店舗限定電子マネーアプリの活用の肝は、「特典・クーポン、ポイント」などのメリットを見極めることです。

例えば、ユニクロペイを今設定すると500円のクーポンが発券されます(執筆時点)。これは設定する「価値」があります。

ドンキのmajicaはカードタイプもありますが今年の7月1日からアプリ登録をしておかないと、ポイント付与、利用実績に応じたランクが反映されなくなるようです。これはアプリの登録理由として意義があります。吉野家もチャージで2%のポイントが付与されます。

一方で、特にクーポンはなく、ポイント付与に差がないのであれば(電子マネーを設定しなくても、ポイントカードとして利用できることが多い)、いつもの決済方法で払ってしまえばいいことになります。例えば、ユニクロや無印良品は、各種キャッシュレス決済に対応済みですから、それらの支払い方法(例えばSuicaなど)を用い、ポイントだけをもらえばOKという考え方も成り立ちます。

今のところ、お店も試行錯誤のようです。キャンペーンが時々開催されて、そのタイミングで会員登録しないともったいないことになるケースもありますので、お得な時なら、切り替えを考えてみてもいいでしょう。

「店舗限定」の弱みが強みとなるか 賢く活用してみよう

店舗限定アプリの最大の弱みは「そのお店でしか使えないこと」です。ドンキのmajicaは東急ハンズで使えるはずがありませんし、ユニクロペイを無印良品で、あるいはその逆もできないのは当たり前です。お店にとっては、自分のチェーンへ顧客を囲い込む手段でもあります。

また、キャッシュレス決済方法はすでに普及しており、店舗限定アプリがなければ現金払いしか選択肢がないわけでもありません。例えばSuicaやクレジットカードを持っていればほとんどのお店でキャッシュレス決済は可能です。

それでも、全国規模のチェーンストアは「店舗限定電子マネーアプリ」を設定していくことでしょう。従来のプリペイドカードより運用は簡単で、かつ忠実な顧客の購買行動をダイレクトに分析できることは大きな魅力であるからです。

私たちは、私たちにとってメリットがあるかどうかをしっかり見極め、賢く利用してみたいものです。

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

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