片寄涼太は英語でスピーチ。少女時代ユナは韓国の指殺人も語る。アジアのライジングスター8人が選出
マカオ国際映画祭では、毎年、世界的な映画誌「Variety」が選ぶ、「バラエティ・アジア・スター・アップネクスト」が発表される。文字どおり、アジアで期待の若手スターに授与されるもので、一昨年の2017年には、日本から忽那汐里が選ばれた。
今年、そのアップネクストの8人の一人が、片寄涼太である。ちょうど日本でも主演作『午前0時、キスしに来てよ』が公開されたばかりというタイミング。8人が揃った記者会見で、司会者に「リョウタ、まず君から」と最初に指名されたのが彼。英語でのスピーチは、じつに堂々としたものだった。
「I’m Ryota Katayose from Japan.
It is such an honor to receive this award.
I would like to express very special thanks to my team, my family, and above all my friends who support me.
My dream and ambitions are to make bridges between Japan and the other countries in Asia through art and entertainment.
I believe this award marks most in my career.
And one day, it will help my dream come true.
Thank you.」
日本語に翻訳すると……
「片寄涼太です。この賞を受賞できるのは光栄です。僕のチーム、家族、そして何より、僕を支え続けてくれた友人に感謝します。僕の夢と野望は、アートやエンタテインメントを通じて日本と他のアジアの国に橋を架けることです。僕のキャリアでも重要な位置となるこの賞が、その夢をかなえる助けになるでしょう」
この後、GENERATIONS from EXILE TRIBEとしての活躍も、流暢な英語で説明した片寄涼太。受賞したスターたち8人のうち、片寄、少女時代のユナ(韓国)、BNK48のジェニスやミュージック(タイ)と、4人が俳優とミュージシャン、2つの顔を持つ。ユナはちょうど出演した映画『EXIT イグジット』が日本でも公開中だ。
司会者からの「演技と音楽、どちらが大変か」という質問にも、英語で「Both(両方)」と返す片寄。「日本人のあなたが中国にも多くのファンがいて成功しているのは、なぜだと思いますか?」という質問には、「そうですね……すみません、日本語でいいですか?」と、ここで初めて通訳の力を借りて、「海外でも多くの人と接したい。心をつなぐ感じで」と、日本語と英語を混ぜながら説明した。
演技と音楽活動、2つのバランスについては、ユナが「ここ数年は演技の仕事も多くなって、演技と音楽、両方に対応するように心の準備ができています」と語り、片寄は「どちらも100%でベストを尽くすことで、次の作品、次の出会いにつながると考えます」とコメントした。
そしてここ数ヶ月、韓国での自殺のケースが象徴するように、若いスターたちの悲劇、いわゆる「指殺人」が話題になっているが、こうした現在進行形のシリアスな質問が出るのも、海外の映画祭らしい。
最も当事者たちに近い境遇にいるユナは、真剣そのものの表情で、次のように語る。
「最初に重要なことは、とにかくすべての人に『期待してはいけない』ということ。そして2番目に重要なのは、『期待しなさい』ということ。何に期待するかというと、その人のファンと、その人を嫌う人が、おたがいに敬意を抱き、なんとかうまくやっていくこと。そこへの希望を、私は持ち続けたいです」
この問題について、いちばん熱く語ったのは、インドの女優、ベア・アロンゾだ。
「SNSは、より多くのファンと接する機会を与えるものとして、現代には不可欠です。完璧に遮断することはできないでしょう。しかし重要なのは、もしあなたがクリエイティブな人間なら、さまざまな意見から距離を置くことができる、ということ。自分の道徳や価値観をしっかりと維持し、そのうえで他人の意見に耳を傾けることができれば、悲劇を避けられると思います。だから私は、そうしたシチュエーションにいる人には、誰か近くにいる人と積極的に『会話』するように勧めることにします」
残念ながら会見はここで終わり、片寄涼太にこの質問に答える時間はなかった。こうした社会性、政治性も絡んだ問題に、瞬発的に自分なりのコメントを出すことができるようになること。それこそが、日本という枠を超えてアジア、さらに世界で通用するスターへの一歩を踏み出すきっかけになるとも感じる。アジアのライジングスターの、次なるステップに期待が高まるばかりだ。